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王妃の村里マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。 バックナンバーを読む
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村里が面する湖の向こう側には、農場があります。ここでは王妃の指名を受けた農夫が農場を管理し、実際に農業を営んでいました。家禽飼養場と牧場、家畜小屋からなり、野菜、そして家畜の飼料を栽培する実験農場でもありました。選び抜かれた家畜が飼育され、とりわけスイス産の雌牛が好まれました。マリー=アントワネットは、雌牛の乳搾りにも立会い、農場で取れた良質の食べ物を食し、限られた内輪の人たちと分かち合いました。

手入れの行き届いたプチ・トリアノンの庭園の一画を抜けると、その先に簡素な田舎風の庭があります。砂利道は、かつて王妃も歩いたままの道に再現されました。わたくしはこの道を歩きながら、湖と建物からなるこの光景、作り込まれ、心地よい調和を生むこの眺めに魅了されずにおれませんでした。この小さな村里は優美で、まるで一幅の絵画のようなのです。18世紀には、10ほどの建物がありましたが、そのいくつかは状態が悪くナポレオンの時代に取り壊しとなりました。5つの建物は王妃が過ごすため、残りは農業のためのものでした(農家や乳製品加工所)。

小さな湖の左手には中世趣味の塔が建っていますが、これは、王太子の乳母がルイ16世の宮廷にもたらした歌にちなんで「マルボルの塔」と呼ばれていました。この庭では、塔に登って素晴らしい眺めを楽しむこともできましたし、小舟に乗って釣りをすることもできました。湖を縁取る右手の小道をゆくと、まず着くのは水車小屋。装飾の施されたこの水車は、実際には一度も使われることはありませんでした。さらに進むと小ぶりな中央の建物に着きます。この建物は王妃の館とビリヤードの館のふたつの部分からなっています。王妃の館は村里の中で唯一平瓦葺きの建物で(他の建物は藁葺き)、螺旋階段のついたビリヤードの館と木製の廊下で結ばれています。やわらかいオークルの外観は簡素な雰囲気。ファサード、とりわけバルコニーと小窓では、石材は割れ目があるかのように加工され、材木は虫に喰われた様を模しており、まるで古い建物のような趣ある風合いです。それに対して、内装は豪華で豊かな装飾が施され、意表をつく効果が作り出されているのです。

見学は1階の食堂から始まります。壁はカフェオレ色で、古い絵の具の痕跡から当時の色調を再現したものです。テーブルもかつてここにあったものを思わせます。竪琴の形をあしらった背もたれのある緑色のモロッコ革張りの24脚の椅子は当時のもので、ジャコブ=デマルテ(1770-1841)の焼印が押されています。またマホガニー製の棚のついた小机も当時のものです。

Update : 2019.8.1

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