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ローザ・ボヌール城マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。バックナンバーを読む
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仕事部屋には、数多くの動物のクロッキーや下絵が展示されています。馬、猪、牡鹿、鷲、雄雌のライオンなど200もの動物がローザの庭で自由に暮らし、モデルになっていました。雌ライオンのファトマ、雄ライオンのシュルタンの強い眼差しに引き付けられます。当時からある鏡つきの洋服ダンスには、ローザが生前残したままの上着がかかっています。動物の石膏像と彫刻が何体か暖炉を飾っています。展示ケースにあるのは、スー族の長の衣装で、なんと、西部開拓時代の神話的人物バッファロー・ビル(1846-1917)からの贈り物です。1899年の万博で、ローザはバッファロー・ビルと出会い、ビー城に招待したのです。ローザは友情の印として、彼に騎士の姿の肖像画を描き、2頭の馬を贈ったのだそうです。

見学をするにつれて、胸のうちに感動がこみ上げてきます。と申しますのも、このアトリエにローザがいるかのように感じられるのです。彼女の眼鏡、水彩絵の具の箱、筆、椅子に掛けられた青い仕事着……そしてタバコの吸い殻までもが残されていることに、わたくしは心動かされずにいられませんでした。ローザはお気に入りの動物たちを剥製にして保存していました。例えばローザが乗っていた雌馬のマルゴ、飼い慣らした猪のキキ、大好きな雌ライオンのファトマなど……アトリエの入り口では、1857年にエドゥアール・デュビュッフェ(1819-1883)が描いたローザの公式の肖像画がわたくしたちを出迎えてくれます。これは彼女の作品を扱っていた画商の注文によるものです。黒いサテンの仕事着に身を包んだローザは、自らが描く雄牛に寄り掛かり、遠くを見つめてポーズしています。雄牛の毛皮の素晴らしい描写をご覧になってください。アトリエの奥、暖炉の横には、ローザの最後の肖像画があります。アンナ・クルンプケによるもので、制作中の姿が捉えられています。77歳にして壮健たる佇まいのローザです。反対側には、ローザの最後の作品で、未完成のまま残された《火事から逃げる馬たち》が飾られています。馬たちの動きと血気が見事な作品です。

ローザ・ボヌールの城=アトリエは、訪れる者を19世紀へと誘う空間です。ローザの芸術の素晴らしさ、そしてその人となりを浮き彫りにするこの場所は、感動に溢れた類まれな場所なのです。極めて現代的な感性の持ち主、自由で独立した女性であったローザは、女性と男性は対等であり、動物たちにも魂があることを証明し続けました。そして、動物の世界を賛美する作品を作り出した彼女は、自然保護にも敏感で、フォンテーヌブローの森の保護のためにも闘ったのです。

もう少しじっくりと見学なさりたいのでしたら、この城に宿泊することもできるのですよ!

友情を込めて。

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Update : 2020.9.4

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