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コンシエルジュリーとサント=シャペル バックナンバーを読む
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▲サント=シャペル
©A. de Montalembert
▲かつてサント=シャペルにあった《聖マクシアン、聖ルシアン、聖ジュリアンの聖遺物箱》13世紀、国立中世美術館所蔵
©RMN / Franck Raux

現在、裁判所となっている建物のほかにも、かつてのパレ・ド・ラ・シテの一部が残されていることをお忘れにならないで。その繊細で軽快な建築と、内部の豪奢な装飾によって、中世芸術の至宝と称えられるサント=シャペルです。中でも、世界的に知られているのは、そのステンドグラスでしょう。

▲《サント=シャペル、1858年頃》 シャルル・マルヴィル撮影、建築・文化財資料館所蔵
©RMN / René-Gabriel Ojéda

13世紀、サン・ルイはキリスト受難の聖遺物である荊冠と十字架の破片(現在はパリのノートル=ダム大聖堂所蔵)を祀るためにサント=シャペルを造らせました。中世には聖遺物に対する崇拝は大変なものでした。聖遺物を納めるためのシャペルを建築することで、王はキリスト教世界におけるフランスの勢力と威信を示そうとしたのです。幾世紀にもわたる歴史の中で損傷を受けたにもかかわらず(革命期には穀物置場として使われました)、ほとんどのステンドグラスは13世紀のものがそのまま残されています。19世紀に着手し、現在も続く修復のおかげで、シャペルは創建時の輝きと、比類なき明るさを取り戻しました。

▲サント=シャペルのバラ窓
©A. de Montalembert
▲かつてサント=シャペルを飾ったステンドグラス《磔刑》
国立中世美術館所蔵
©RMN / Franck Raux

外から見上げてみると、その高さは驚くほどです。高さ33mの壮麗な尖塔は、陽光を受けて輝き、裁判所を見下ろしています。高くそびえる建物を支えているのは、内側からは見えない控え壁です。この控え壁があることで、光を遮る壁の代わりに大ステンドグラスを設けることができたのです。実は、サント=シャペルは、上下に重ねられた同じ面積の2つの礼拝堂から成ります。下の礼拝堂は、召使い専用でした。ここはあまりにも暗く地下深くにあるので、クリプト(納骨堂、礼拝堂として用いられる地下室)に入っていくような気がします。紺青の地にユリの花を描いた装飾は、19世紀に中世風に施されたものです。上の礼拝堂は王とその家族専用で、王の居室と直接つながっていました。

▲サント=シャペルのステンドグラス
©A. de Montalembert

小さな螺旋階段を上がると、建築の優雅さ、そして15枚の色とりどりの大ステンドグラスから差す光の明るさにはっとします。ステンドグラスには、創世記からキリスト復活までの人類の歴史を物語る1,113の情景が描かれています。西側の奥には、15世紀のバラ窓がヨハネの黙示録を語っています。赤と青を基調としたステンドグラスと、黄と青を基調としたバラ窓は、一日の時の流れと、太陽の輝きによって絶え間なく変わる光を通して輝いています。

最後に、コンシエルジュリーでは、2月13日まで「映画スターとしてのモニュメント」という企画展が行われており、映画監督たちを魅了してきた城や大聖堂、その他フランスの史跡にスポットを当てています。例えば、ヴェルサイユ宮殿と王家の礼拝堂は、実際にソフィア・コッポラの映画『マリー=アントワネット』の舞台となり、作品の中で重要な役割を担っています。

▲色とりどりの花々が美しい花市
©A. de Montalembert

最後に皆さまへのちょっとしたアドヴァイス。ロルロージュ河畔沿いを、花市まで散策なさってみてください。四季折々、色とりどりの花々が、セーヌ河を背景に皆さまの目を楽しませてくれることでしょう。


親愛を込めて。


▲コンシエルジュリー、企画展入り口
©A. de Montalembert

▲サント=シャペルの尖塔とコンシエルジュリー
©A. de Montalembert

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