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イル=ド=フランス美術館〜ソー公園〜バックナンバーを読む
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▲「大地」を表す大理石彫刻
©Collection musée de l’Ile-de-France, Sceaux. Photo Pascal Lemaître

▲幾何学的に構成された庭園
©A. de Montalembert

イタリア式庭園の影響や当時の好みを反映して、公園は幾何学的に構成され、古代彫刻のレプリカやベルニーニ(1598-1629)作の《アポロとダフネ》をはじめとする名作を模した数多の彫像で飾られています。城の右側、滝へと続く公爵夫人の小道の入り口は「大地」と「水」を表す二体の大理石彫刻で飾られています。


▲古典主義建築のオランジュリー
©A. de Montalembert




見逃してはならないもうひとつの建物は、1686年に建てられた古典主義建築の傑作、長さ60mのオランジュリーです。南側に開いたアーチ型の窓を持つこの建物は、夏には饗宴の場となり、冬には庭のオレンジの木を収めておくために使われていました。現在では、在りし日の庭園を飾った多くの彫刻のオリジナルが保管されています。



▲暖炉のあるレセプションルーム
©CG92/Olivier Ravoir

現在の城が建てられたのは、1856年から1862年のことです。レンガと石を用いたネオ・ルイ13世様式で、スレート葺きの屋根に、すらりとしたラインがとてもエレガントです。一方で、小窓を取り囲む彫刻にもかかわらず、ファサードはいかめしい印象を与えます。内部装飾、とりわけレセプションルームにあてられた1階の装飾は、ルイ14世、ルイ15世様式から着想を得ています。白と金色に塗られたレセプションルームには、深紅とベージュの大理石の暖炉があります。6つの大きな鏡、そして部屋の両側にある窓が、この部屋をとても明るく壮麗に見せています。壁にはヴェルサイユとソーの造営に関わった芸術家、ル・ノートルとル・ブランの肖像画が掛けられています。ルイ16世時代の貴重な家具には、やはりヴェルサイユに関わった高級家具職人J.B.ブラール(1725-1789)の焼き印が入っています。

お隣には、赤い布が張られた小さなサロンが続きます。この部屋は、1829年からのこの城の主にちなみ「モルティエ・ド・トレヴィズの間」と呼ばれており、モルティエ・ド・トレヴィズ元帥がナポレオン1世(1769-1821)より贈られた貴重な肘掛け椅子が置かれています。バラ色に金の模様が入ったブロケード織りの絹地張りの椅子で、高級家具職人ピエール・ブノワ・マルシオン(1769-1840)の焼き印入りです。高価な外国産の木材を用いて花模様を描いた、素晴らしい寄せ木張りの床もどうぞ、お見逃しにならないでくださいね。


▲楕円形の間。左手の展示ケースには、ソーの陶器類が飾られている
©CG92/Olivier Ravoir

中央の楕円形の間は、楽器をモチーフにした、ターコイズ色と白、金色の素晴らしい装飾が施されています。ガラスケースの中には、色彩豊かな18世紀ソー陶器の比類ないコレクションが展示されています。ソー製陶所(1748-1879)は、日本風の陶器を真似たファイアンス焼きで知られています。ここで作られた陶器類(だまし絵、テリーヌ型、食器一式)は、とても鮮やかな色彩と、田園生活から想を得た人物群像が特徴です。


▲フランソワ・ド・トロワ《アエネーアースとディードーの饗宴》1704年
©Collection musée de l’Ile-de-France, Sceaux. Photo Pascal Lemaître

食堂は、1700年以降、この城の主となったメーヌ公爵夫妻の豪奢な生活を今に伝える空間です。文芸の庇護者であった公爵夫人(1676-1753)は、ヴェルサイユでの暮らしに飽き足らずにソーヘやってくる優秀な宮廷人たちに取り囲まれていました。画家フランソワ・ド・トロワ(1645-1730)の傑作《アエネーアースとディードーの饗宴》(1704年)は、公爵夫妻を神話の登場人物になぞらえ、宮廷人たちに囲まれているところを描いています。食堂は、暖炉と赤大理石で囲まれた入り口がアクセントとなったエレガントな装飾です。公爵夫人所有のベルナールII ・ヴァン・リザンブール(B.V.R.B)(1696-1765)作とされる黒漆の豪華な箪笥(1730年頃)は、この時代の東洋趣味や、パゴダ、船、橋の装飾への好みを示す一品です。


▲《水の花壇から見たヴェルサイユ宮殿の眺め》1675年頃
©Collection musée de l’Ile-de-France, Sceaux. Photo Pascal Lemaître

大階段には、大理石のだまし絵が人目を引く、実に見栄えのする装飾が施されています。天井には、歴代のフランス国王(シャルルマーニュ、サン=ルイ、フランソワ1世、ルイ14世)の横顔を描いたメダイヨンが4つ描かれています。錬鉄製の素晴らしい手すりに導かれつつ、1階から2階へと参りましょう。2階へ着いて最初の部屋には、イル=ド=フランスの主要な王宮を描いた絵画が飾られています。ここに描かれた王宮のうちの幾つかはすでに失われていますが、美しい庭園の絵で知られるユベール・ロベール(1733-1808)が描いたメレヴィル城(1786-1787年)もそのひとつです。あるいは改装を経て、姿を変えているものもあります。《水の花壇から見たヴェルサイユ宮殿の眺め》(1675年頃)には、鏡の間を整備する際にマンサールが撤去した2階のテラスが描かれています。中央の展示ケースには、ダルト兄弟製陶所の美しい磁器の食器一式(1805-1817年)が飾られています。青と金の地に、魅力的なパリ周辺の情景が描かれています。


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