1986年の開館以来、ルーヴル美術館と並び、
パリを訪れる多くの人々の目を楽しませてきたオルセー美術館。
25周年を目前に、現在開館以来初の大規模な改修工事が進められています。
そして、新しく生まれ変わろうとしているオルセー美術館から、
115点にものぼる名画が、東京・六本木の国立新美術館で開催中の
オルセー美術館展2010「ポスト印象派」に集結しました。
今月のMMFでは、多くの美術ファンの注目を集めている
新生オルセー美術館の姿をクローズアップ。
“空前絶後の世界巡回展”と称されているこの展覧会にあわせて
来日されたギ・コジュヴァル(Guy Cogeval)館長自身による
ナビゲートで、新生オルセーの姿をひと足早く、ご案内します。
また、コジュヴァル館長からMMFのwebサイトをご覧の皆さまだけに送るメッセージ、
そしてオルセー美術館展2010「ポスト印象派」の展覧会レポートもお楽しみください。
現在オルセー美術館は全体の半分が改修工事のため、閉鎖されています。多くの訪問者が楽しみに訪れる上階の印象派の展示室もそのひとつ。注目の印象派の展示室をはじめ、オルセーのシンボルともなっている大時計の裏のカフェまで、オルセーがどんな姿に生まれ変わるのか、2011年の完成予想図とともにご案内しましょう。
コジュヴァル館長:今回の改修で、印象派の展示室はシェードを通して上方から光が差し込む明るい展示室に生まれ変わります。また、照明の工夫に加え、私たちは今回、床をフローリングにすることにこだわりました。それによって、フロア全体に温かみがかもし出され、作品に対する親しみやすさ、また優しさが演出されることでしょう。
コジュヴァル館長:オルセーには素描約7万点の豊富なコレクションがありますが、作品は現在ルーヴル美術館に保管されています。そこで、館内に2つの大きな素描展示室を設けることにしました。その展示室では、素描の企画展を開催しながらその豊富なコレクションを余すところなくご紹介する予定です。
コジュヴァル館長:また、これまでの上階のフロアが抱えていた大きな問題点のひとつが、柱が林立する展示室でした。とくにスーラやゴーギャンなどのポスト印象派の作品を展示している展示室は、これまではどうしても視界の中に柱が入ってしまい、後ろに下がって作品全体を楽しむことが難しい状況でした。そこで我々は、ポスト印象派の展示室をヴュイヤールなどが展示されていた中階(レベル2)に移したうえで、装飾としての機能を果たしていた柱を全部取り除き、そこを新たな開放的な展示スペースとすることにしました。この展示室は、建築や写真、また実験的な展覧会などを含む、第二の企画展スペースになる予定です。
コジュヴァル館長:これまで印象派の展示室へと続くエスカレーターがあった吹き抜けの「パヴィヨン・アモン(Pavillon amont)」も改装中です。このスペースでは、これまでなかなか展示することが叶わなかったアーツ・アンド・クラフツ、ドイツやイタリアのアール・ヌーヴォーなど海外の装飾芸術をご覧いただけることになります。また、大時計の裏にあるガラス越しにパリの景色を見下ろすことのできる「カフェ・デ・オトゥール(Café des Hauteurs)」も、今回の改修でブラジルのコンテンポラリー・デザインのスター、カンパナ兄弟(Campana Brothers)の手によってモダンなカフェに生まれ変わることになります。開館から四半世紀、2011年秋には、新しい表情をたたえたオルセー美術館で皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
- 会期
2010年5月26日(水)〜8月16日(月) - 会場
国立新美術館 企画展示室2E - 所在地
東京都港区六本木7-22-2 - Tel
03-5777-8600(ハローダイヤル) - URL
美術館
http://www.nact.jp/ - 開館時間
10:00-18:00
金曜日は20:00まで
*入場は閉館の30分前まで - 休館日
火曜日 - 入館料
一般:1,500円
大学生:1,200円
高校生:800円
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。