GINZA-ART LINK [ 銀座界隈で出会えるアート ]
銀座界隈アートスポット巡り vol.10

メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス(MMF)のある銀座界隈には 企業が運営する美術館やギャラリーなどが、数多く点在しています。銀座のMMFにお越しの際、併せて訪問いただきたい、こうしたアートスポットをご紹介してまいります。

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第10回 資生堂ギャラリー 仲條正義展 忘れちゃってEASY 思い出してCRAZY

銀座の4つのギャラリー、資生堂ギャラリー、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)、クリエーションギャラリーG8、ガーディアン・ガーデン共同で、「銀座のクリエーション」を広く楽しんでもらうために、「銀クリ」プロジェクトがスタートしました。その第一弾は、6月から8月までの3カ月限定で開催されるスタンプラリー「銀ラリ」。今回は、4つのギャラリーの中のひとつで、グラフィックデザイナー仲條正義(なかじょうまさよし)氏の新作展が開催されている資生堂ギャラリーを訪れました。

 

資生堂ギャラリー SHISEIDO GALLERY

  • 所在地
    東京都中央区銀座8-8-3
    東京銀座資生堂ビル地下1階
  • Tel
    03-3572-3901
  • 開設年
    1919年
  • 運営コンセプト
    「新しい美の発見と想像」を活動理念として、一貫して非営利の活動を続ける。1990年代からは、現代美術に主軸を定め、前衛性と純粋性を兼ね備えた同時代の表現を積極的に紹介している。
  • 開催中の展覧会
    「仲條正義展 忘れちゃってEASY思い出してCRAZY」
    2012年6月23日(土)〜8月12日(日)
  • 観覧料
    無料
マップ
  • アクセス
    東京メトロ「銀座駅」B5出口から徒歩5分、A2出口から徒歩4分。
    東京メトロ「新橋駅」3番で出口から徒歩4分。
  • 休館日
    月曜日(祝日の場合も休館)
  • 開館時間
    平日 11:00-19:00
    日曜・祝日 11:00-18:00
  • 運営企業
    株式会社 資生堂
 

古巣のギャラリーで再び始まる新たな仲條ワールド

▲ギャラリーは、銀座8丁目の資生堂ビル地下1階に広がる

 1919(大正8)年に開設した現存する日本で最古の画廊といわれる資生堂ギャラリー。銀座界隈アートスポット巡りでは、「現代アーティスト、辰野登恵子の新作展」 以来2度目の訪問となります。資生堂ギャラリーがこれまでに開催した展覧会は、実に3,100回以上。とくに1990年代からは、現代美術を中心に、前衛性と純粋性を備えた同時代の表現を紹介し続けています。

 この老舗ギャラリーで8月12日まで開催されているのが、79歳になった今でも、タイムレスな魅力で多くのファンを惹きつけてやまないグラフィックデザイナー仲條正義(なかじょう・まさよし)氏の個展です。仲條氏は1956年東京藝術大学を卒業後、資生堂宣伝部に入社。40年以上にわたって資生堂の広報誌『花椿』のアートディレクションに携わるほか、幅広い活動をされてきました。

 仲條氏のデザイン哲学は「グラフィックはきれいにつくるともたない」という独自のもの。「とことん突き詰めて作りながら、完成した時はあえて壊してみる。壊れ方が新しいセンスになることもある」と語ります。今年、仲條氏は『花椿』誌のリニューアルに伴い、そのアートディレクションを離れたばかり。そんな節目の年に開かれた今回の個展は、新たな仲條ワールドに出会える見逃せない内容となりました。

▲79歳の現在でも、第一線で活躍し続ける仲條正義氏

▲真っ白な壁一杯に広がる仲條ワールド


タイムレスな魅力に触れられるビビッドな全34点の新作群

▲ビビッドな色使いが印象的な屏風風の作品《無題》2012

▲細部に手仕事の技が見られる《赤のシリーズ(SeriesC#1〜9)》2012

 取材に訪れた日は、ご本人から直接、今回の個展に込めた思いをうかがうことができました。今回出品されている全34点は、すべて今回の展覧会のために制作された新作です。5mを超える天井高をもつ銀座地区で最大級の空間にビビッドに映える作品群。その作品を前に、仲條さんはこう語ります。

 「ぼくはグラフィックデザイン出身だから、この広いスペースをどうねじふせるか、まずそこから考えたんだよね。A3の原画を5倍に拡大すると、仕上がりが想像できない。でもその計算通りにいかないっていうところが、ぼくは好きなんだ」

 じつは今回の作品は、手作業とデジタル作業を何度も繰り返して生まれたものばかり。たとえば仲條氏ならではのオリジナルのロゴをテーマにした《赤のシリーズ》では、手描きの線を残した原画を和紙に出力してから、和紙を濡らして独特のにじみを表現。さらにそれをデジタルカメラで撮影し、ドイツの版画紙に出力するという行程を経て誕生しました。

 「デジタルの分野にどれだけ人間が入り込めるかと思って、いろいろ試してみたんです。身体のモチーフとグラデーションを組み合わせた《青のシリーズ》では、出力したあとに紙を揉んでしわをつけてみました。それをまた複写してもらったんだけれど、けっこういい味が出てるでしょ」


▲遊び心満点の《青のシリーズ(CeriesC#1〜9)》2012

 まるで、少年のようないたずらっぽい笑顔が印象的でした。「ぼくは中途半端なものが好きでね。性格なのかな」と話す仲條氏ですが、ギャラリーには、長年第一線で活躍してきたアーティストだけが到達し得るいい意味での“力の抜けた一級品”が並びます。この絶妙な力の抜け具合が、古びることのないタイムレスな魅力なのかもしれません。
仲條ワールドのディテールへの心くばりと実物の迫力を是非会場で体験してください。


▲4つのギャラリーを巡る銀座のアート散歩へ!

スタンプラリー「銀ラリ」で仲條氏のオリジナル缶バッジをゲットしよう!

6月から8月の3カ月、「資生堂ギャラリー」「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」「クリエーションギャラリーG8」「ガーディアン・ガーデン」の銀座にある4つのギャラリーではスタンプラリーを開催中。スタンプがすべて集まった方には、仲條正義氏のオリジナル缶バッジを各会場でプレゼント。各月2種類ずつ、毎月デザインが変わります。

ギャラリー担当者からのメッセージ

半世紀以上にわたるデザイン活動で、常に新しい表現方法を模索されている仲條さんの新作個展です。パリのメトロのポスターからもインスピレーションを得たという迫力ある作品群を、ぜひ会場でご覧いただき、そのスケールの大きさを体感してください。
資生堂ギャラリー 深井さえ子

 
 

Update : 2012.7.17

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