▲初来日の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》1876年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
©Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF
「この展覧会のいちばんの目玉は、“オルセー美術館の至宝”が日本で初めて紹介されることでしょう」
パトリ氏が語る“オルセー美術館の至宝”とは、《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》のこと。「ルノワールだけでなく印象派全体の代表作」「印象派のアイコン」とパトリ氏が形容する記念碑的な一枚です。モンマルトルのダンスホールで、若い男女がダンスや会話に興じる様子を描いたこの作品は、第3回印象派展に出品されて話題を集めたのち、ルノワールの盟友カイユボットのコレクションに入りました。そして1894年にカイユボットの遺贈によってリュクサンブール美術館(オルセー美術館の前身)に所蔵されて以降、日本に貸し出されたことはなく、今回、初めての来日が実現したのです。
「ルノワールのどこが新しかったのか、それをわかっていただくために、今回は展覧会の中に〈もうひとつの展覧会〉を作りました」 パトリ氏がこう説明するのは、《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》の展示されている「“現代生活”を描く」の章のこと。ここでは、コローやゴッホ、スタンラン、ボルディーニら、ルノワールと同時代の画家たちがモンマルトル
を描いた作品のほか、写真資料や映像などを展示して当時のモンマルトルを再現。作品が描かれた時代の雰囲気の中で、《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》を鑑賞することで、ルノワール作品の新しさを体感できる仕立てになっています。注目は、ルノワールの次男で映画監督のジャン・ルノワールによる映画「ナナ」。親子2世代が切り取ったモンマルトルの競演は、この展覧会ならではの楽しみです。
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