Dossier special - 海外の特集

  • 1.地図部門副部長フランソワ・ナウロキ氏が解説するBnF常設展
  • 2.フランス国立図書館 フランソワ・ミッテラン館

フランス国立図書館  フランソワ・ミッテラン館 常設展「コロネリの地球儀・天球儀」

東京の五反田のDNPミュージアムラボでは、「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」が開催中です。そこで今月の特集ではパリ13区にあるフランス国立図書館(BnF)フランソワ・ミッテラン館の「コロネリの地球儀・天球儀展」をクローズアップ。2006年より常設展示されているこれらの地球儀・天球儀は1681年から1683年にかけて制作され、エストレー枢機卿からフランス国王のルイ14世(Louis XIV/1638- 1715)に贈られた由緒ある作品です。BnFのコレクションでもっとも大きくモニュメンタルなこの天球儀と地球儀の見どころについて、MMMがBnF地図部門副部長のフランソワ・ナウロキ(Francois Nawrocki)氏にお話をうかがいました。

地図部門副部長:フランソワ・ナウロキ氏が解説するBnF常設展「コロネリの地球儀・天球儀」

▲BnF地図部門副部長のナウロキ氏

MMM:ルイ14世に捧げられた地球儀と天球儀、その特色を教えてください。

フランソワ・ナウロキ氏(以下F.N.):BnFの常設展で展示されているのは、17世紀末にルイ14世に贈る目的で枢機卿によって注文されたペアの地球儀と天球儀です。宮廷で国王の注意を引き、強い印象を与えることを意図した作品のため、大規模で斬新なものを作る必要があり、その費用はとても高額でした。作品の制作を任されたのは、ヴェネチアの地理学者、コロネリ(Vincenzo Coronelli/1650-1718)です。コロネリはありとあらゆる地理学の資料や歴史資料を使用するほか、当時のアメリカ大陸での新しい発見を取り入れたりと、熱心な資料収集をしながら地球儀の制作に取り組みました。天球儀も同様に、当時の新しい星座を見つけることのできる作品です。17世紀末は天文学者のヘヴェリウス(Johannes Hevelius/1611-1687)によって、新たに多くの星座が設定された時代でした。

▲コロネリの肖像
© Château de Versailles, Dist. RMN-Grand Palais / image château de Versailles

 コロネリは科学的な作品である以前に、芸術的な作品であることを重視しました。特別に美しく仕上げる必要があったため、木製のパネルが入り組む地球儀・天球儀の表面の仕事は画家たちに依頼しました。巨大な家具という認識で作られており、内部の骨組みはとても頑丈な造りになっています。地球儀・天球儀ともに非常に重たく、それぞれ数トンあり、直径は4mにも及びます。正確には測っていませんが、表面積も相当な大きさがあるのがわかります。
 現在これらの地球儀・天球儀は、傾斜した心棒を使って設置されていますが、かつては大理石製のたいへん重たい台座に据えられていました。この台座はだいぶ高さがあるため、現在の常設展では使用されていません。当時この地球儀・天球儀は手すりの付いたバルコニーや階段に上って鑑賞する必要があったのです。

▲大航海時代に伝えられた世界各地の生活様式や動物、特産物などが描写された地球儀

MMM:コロネリの地球儀と天球儀がBnFで常設展示されるまでの経緯を教えてください。

F.N.:これら巨大で贅沢な地球儀・天球儀は、ルイ14世へと贈られると、国王の所有していたマルリー城に臨時で展示されました。しかし18世紀初頭に作品は解体され、以降ほとんどの時間を保護ケースの中で過ごすことになります。何度か国立図書館内に展示される機会はありましたが、一般公開は1980年のポンピドゥ・センターでの展覧会を待たなくてはなりませんでした。その後ヴェルサイユ(Versailles)やラ・ヴィレット(La Villette)においても展示される機会がありました。そして2006年からはメセナ企業の協力のもと、BnFのフランソワ・ミッテラン館で常設展示されることになります。地球儀と天球儀の搬入は、図書館の壁の一部を壊さなくてはならないほど、たいへん大掛かりなものでした。

▲ルイ14世が生れた日付の星空が描かれている天球儀

 これらの作品はシンポジウムや多くの出版物で取り上げられたことでさらに価値を高め、BnFの象徴的なコレクションとして知られるようになります。BnFの地図部門には大小さまざまな地球儀・天球儀コレクションがあり、なかにはコロネリの作品のようにユニークなものも含まれていますが、もっともインパクトがあるのは、やはりこのコロネリの地球儀・天球儀だと思います。

MMM:見どころは科学的価値よりもその芸術的価値にあるのですか?

F.N.:コロネリの地球儀・天球儀は美しさの面ではたいへん優れていましたが、当時もっとも革新的な作品ではありませんでした。美的には斬新であっても、学問的には最先端の作品ではなかったのです。当時はこれらの作品よりずっと正確な内容のものが存在しました。コロネリの目的は極めて装飾的で印象深く、細部にわたって豊富な色彩に包まれた地球儀・天球儀を作ることでした。巨大な作品であったため、大きな空白ができるのを避ける必要があり、コロネリは当時知りうるすべてのことを、これら地球儀・天球儀上に描きました。そのため不確かな情報、まだよく知られていない情報も作品上には含まれていました。科学的な視点で正確に描くことよりも、できる限り豊富な内容を描いて、より装飾的に仕上げることが優先されたのです。

▲ヴィーナスや国王の肖像で大胆に装飾された地球儀(手前)

▲地球儀・天球儀の展示以外に、天文学や地図製作の歴史についての展示も

MMM:DNPミュージアムラボで開催中の「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」へのメッセージをお願いします。

F.N.:DNPの「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」では、デジタル技術を駆使して展示作品の豊かさと多様性を詳しく探ることができます。展覧会では前期(2016/2/19-5/22)と後期(2016/6/3-9/4)でそれぞれ5つの地球儀・天球儀を紹介していますが、前期、後期ともに鑑賞しながらゆうに1時間半は過ごせる内容です。各作品の理解の方法もさまざまで、遊びの要素を織り交ぜつつ、それぞれ異なるロジックで鑑賞者に語りかけています。新しい技術を操作しながら複雑な展示作品について楽しんで学ぶことができるでしょう。この展覧会のプロジェクトに取りかかった当初は、「挑戦」または「野心的」といった思いでした。これほど変化に富んだ豊かな内容になるとは想像しておらず、本展の完成度にたいへん満足しています。

フランス国立図書館 フランソワ・ミッテラン館

所在地
Quai François-Mauriac 75013 Paris
TEL
+33(0)1 53 79 59 59
URL
http://www.bnf.fr
開館時間
火曜日〜土曜日:9:00〜20:00
日曜日:13:00〜19:00
月曜日:14:00〜20:00
休館日
祝日
入場料
常設展/無料
アクセス
地下鉄6番線Quai de la gare駅より
徒歩7分
地下鉄14番線、RER C線Bibliothèque François-Mitterrand駅より徒歩5分
※この情報は2016年7月更新時のものです。
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