「オランジュリ絵画館〜クロード・モネの『睡蓮』」
 
 2006年5月、6年間に及ぶ改装工事を終え、1927年の開館当時の状態を取り戻したオランジュリー美術館。パリを訪れる多くの美術ファンもその再オープンを心待ちにしていました。日本人にも人気の高いオランジュリー美術館は、印象派の巨匠モネがその傑作群『睡蓮』を飾るにふさわしい空間とするため、建築家の助けを借りながら自身で図面を引きつくり上げた“『睡蓮』のための空間”ということができます。本書は、この美の館の“主人”ともいうべき『睡蓮』にスポットを当てた一冊です。
 モネは43歳のとき、パリを離れジヴェルニーに居を移しました。
池を掘り、水生植物を植えよう……ふたつの小さな橋も作りたい――。
植物園に出向き、さまざまな苗や球根を分けてもらったモネ。すでに名声を得ていた画家の次なる目的は、道楽や目の保養のためばかりでなく、絵の題材としての庭を造ることでした。そしてそんなモネの願いどおり、このジヴェルニーの庭からは、画家最大の傑作である『睡蓮』の連作が産声を上げることになったのです。
 
オランジュリ絵画館〜クロード・モネの『睡蓮』
Musée de l'Orangerie , Les Nymphéas du Claude Monet
A4変形/134ページ
日本語/刊行:2006年8月10日
本体記載価格/19.5ユーロ
※フランス語版もあります
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   本書では、ジヴェルニーの庭から始まった『睡蓮』の歴史が、その作品はもちろん、庭の設計図や当時の写真など貴重な資料とともに明らかにされていきます。さらに、付録資料として、造園許可を得るためにモネが県知事へ送った書簡や、友人の政治家クレマンソーからモネに宛てた手紙などを掲載。また、『睡蓮』の修復によって新たに確認された絵の具や顔料の成分分析なども紹介されています。
 モネ自らがそのモチーフを生み出し、そして作品として完結した『睡蓮』。本書をひもとけば、画家と作品をつなぐ新たな魅力が発見できることでしょう。
 
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本サイト5月号『特集01オランジュリー美術館』7月号『ミュゼ・ド・フランスインタビュー フィリップ・ソニエ氏へのインタビュー』では、オランジュリー美術館の再オープンと改修にちなんだ記事を掲載しています。