「写真で見るピエール・ロティの東洋」
 

「蝶々夫人」のもととなった詳細を著した小説家ロティ
彼が見た東洋を写真と日記で辿る一冊

 2008年は、日仏交流150周年の節目の年。MMFwebサイトでは、「日仏芸術交流の架け橋」と題し、ジョルジュ・ラビ林忠正アンリ・チェルヌスキと、両国の芸術交流に貢献した人々にフォーカスした記事を連載しています。
 そこで、今月はMMFのライブラリーからも、日仏交流史を語るうえで欠くことのできない人物をひとりご紹介いたします。海軍士官として世界各国に寄港し、そのときの体験をもとに甘美な恋愛小説を著したフランスの小説家ピエール・ロティです。

「写真で見るピエール・ロティの東洋」
Les Orients de Pierre Loti par la photographie
24.5×18cm/249ページ
フランス語/刊行2006年
著者/ブリュノ・ヴェルシエ
本体記載価格/42ユーロ

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1885年、1900年と2度にわたって来日したロティは、『お菊さん』『お梅が三度目の青春(はる)』、『秋の日本風物』などの作品を発表。プッチーニのオペラ『蝶々夫人』の原作はこの『お菊さん』がもととなったと言われており、芥川龍之介はロティの短編に着想を得て『舞踏会』を著すなど、その作品は日本やフランスにとどまらず、世界各国の文芸界に大きな影響を与えました。
 東洋の国々の“はかない魅力”を永遠に切り取ることのできる「写真」の役割を重視したロティは、自らの旅を写真に記録するだけでなく、ベアトをはじめとする写真家が撮影した東洋の写真をコレクションしました。本書はそうした写真とロティの日記を通じて、彼が辿った東洋の旅を再現する一冊。なかには、芸者や車夫、番傘職人、三味線職人といった日本の人々を捉えた写真の数々も収録されています。現在では見ることの難しい伝統や風俗を刻んだ写真を通じて、1世紀以上前のフランス人小説家の東洋旅行を追体験してみませんか。