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ジロデ美術館、モンタルジマダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。バックナンバーを読む
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方形のサロンとそれに続くギャラリーには、ジロデの23点の絵画が展示されています。《地理学の授業》(1803年)は、トリオゾン医師とその息子を描いた作品で、父の息子への優しく愛情に満ちたまなざしが心を打つ作品です。トリオゾン医師の息子ブノワ=アニエス・トリオゾン(1789-1804)は若くしてこの世を去りますが、父は息子に自らの知識を伝え、地理学についての授業を行っていたのです。絵の中のふたりは地球儀を指差していますが、地球儀には儚さを象徴するハエが描かれています。《聖書の挿絵を見るブノワ=アニエス・トリオゾンの肖像》(1797年)は、7歳の時の肖像画で、カールした髪がかわいらしい顔を縁取っていますが、母親を亡くしたばかりの少年は、悲しげな目をしています。実際に彼が受けていた教育の証として、ブノワ=アニエスが手にした本は、その文字まで読むことができ、248ページが開かれているのが分かります。ポケットから覗くけん玉は、彼がまだ子どもであることを物語っています。

《モルデカイ》(1790-1800年頃)は、おそらく頭部の習作で、ダヴィッドから教育を受けた新古典主義の影響が表れています。背景を灰色にしたこの印象的な肖像画は、冷たい色調の単彩で描かれています。それとは反対に《インド人の肖像》(1807年頃)は、緑からエメラルドグリーン、オレンジ、赤といった艶やかな色彩が人物を引き立てています。ジロデはこのように、オリエンタリズムに関心を示し、師ダヴィッドのスタイルから離れていったのでした。同様の色づかいは、魅力的な肖像画《ムスタファ》(1819年)にも見てとることができます。それに続く、一連の小さい肖像画シリーズは、ジロデの近しい人々や、注文で描かれたものです。部屋の中央には威厳のある《立法機関の最高権力者としてのナポレオンの肖像画》(1812-1814年)が飾られています。アーミンの毛皮で縁取られた皇帝のマント、そしてレジオン・ドヌール勲章の大きなネックレスを身につけ、民法典と皇帝の球に右手をかざし宣誓した姿のナポレオンが描かれたこの肖像は、力強さと冷たさを感じさせる作品です。

それから、トリケティが設計と装飾を手掛けた図書室を横切り、ジロデにオマージュを捧げた最後の展示室へと向かいましょう。ジロデの自画像のポール・シャルパンティエ(1787-1877)による模写、デスマスク、愛用のパレットや筆、ジロデの手を型取りして鋳造したものなどがあります。階段を上ったところにある展示壁には、アテネのパンテオンのフリーズを構成する12点の浅浮き彫りの石膏複製がありますが、これらはアンリ・ド・トリケティとアレクサンドル・ドゥマシーによるものです。

1階には、かつての建物の唯一の遺構として、1925年に全体の装飾が施され、壁にはコルドバ革が貼られた、ネオ・ルネサンス様式の市庁舎の結婚の間があります。

美術館を後にしたら、聖マドレーヌ教会まで散策なさることをおすすめいたします。そして、19世紀に作られた素晴らしいステンドグラス(1859-1873年)をご覧ください。右側には、聖フランシスコ・ザビエル(1506-1552)が日本で伝道する様子が描かれています。教会の内陣は、火災ののちに、著名な建築家ジャック1世・アンドルエ・デュ・セルソー(1515-1585頃)の手で1525年に再建されたもの。19世紀には、ヴィオレ=ル=デュック(1814-1879)が教会の改修を依頼され、尖塔の設計を手掛けたのですよ。

友情を込めて。

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Update : 2021.9.1

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