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フランス南西部、バスク地方の中心都市バイヨンヌに、
アングルやジェリコーなどの19世紀フランス絵画の名作が集う美術館があります。
このコレクションを築いたのは、19世紀パリの社交界で優れた肖像画家として知られた画家レオン・ボナ。
彼は、生涯をかけて収集した美術品を、生まれ故郷のバイヨンヌに寄贈したのです。
第三共和制時代の壮麗な佇まいのミュゼに足を踏み入れれば、
そこには古き良き時代の雰囲気と、ひとりの画家の想いが息づいています。 |
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©OT Bayonne |
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▲第3共和制時代の典型的な建築様式で建てられたボナ美術館。
© Musee Bonnat, Bayonne,A. Vaquero |
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バイヨンヌの街は、アドゥール川から分岐したニーヴ川を挟み、東西ふたつの地区に分かれています。西側が大聖堂やヴュー城のあるグラン・バイヨンヌ、東側がプティ・バイヨンヌ。19世紀末に創設されたボナ美術館は、プティ・バイヨンヌの古くからの地区にあります。
フランスのなかでも特異な道を歩んできたバスク文化の中心地であるこの街を歩いていると、赤い屋根と木組みの縞模様が特徴的な白い家がよく見かけられます。そんななか、第3共和制期の典型的なスタイルである、柱廊のあるボナ美術館の建物は異色の存在。じつは、当時としてはとても珍しいことですが、この建物は当初から美術館とすることを目的に建てられたものなのです。 |
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この美術館は、バイヨンヌ出身の画家・レオン・ボナ(Léon Bonnat/1833-1922)の名を冠しています。彼は自らが築いた豊かな美術コレクションを生まれ故郷に譲りたいと願い、1891年に寄贈したのです。さらに、1936年から1992年にかけて、数多くの地元の名士からの寄贈が続き、美術館のコレクションは充実していきました。 |
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▲明るい自然光に満ちた館内のパティオ。
© Musée Bonnat, Bayonne- A.Vaquero |
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▲街のあちこちで見かけられるバスク地方の典型的な建物
© OT Bayonne |
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こうして集められた所蔵品は、絵画、彫刻、デッサン、美術工芸品にまでわたり、その数じつに5,000点以上。そのうちの10分の1だけが3つのフロアで展示されています。
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▲ドガが描いたレオン・ボナの肖像。
© Photo RMN -©R.G.Ojéda |
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レオン・ボナは、1833年6月20日にバイヨンヌに生まれました。若い頃の一時期をスペインのマドリッドで過ごし、プラド美術館で巨匠たちの作品に触れ、絵画を学んでいきました。1854年からは、パリのエコール・デ・ボザールで学び、その後およそ3年間、ローマに滞在。そして、1861年にパリへ戻った後に、ナポレオン3世(Napoléon )の皇妃ウジェニー(Eugénie)が彼の絵を購入すると、ボナの名はフランスの社交界に知れ渡るようになったのです。 |
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画家ジェローム(Jean-Léon Gérôm)とともに、エジプトからエルサレムまでを訪れた東方旅行の後には、ボナはオリエンタリスムのテーマに取り組みましたが、パリの人々は彼の肖像画をより好んだようです。彼が描いた肖像画は、当時の偉人たちの姿を後世に伝えることとなりました。たとえば、ボナの手による文豪ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)、政治家のジュール・フェリー(Jules François Camille Ferry)やフェリックス・フォール(Felix Faure)、ガンベッタ(Léon Gambetta)、生物学者パストゥール(Louis Pasteur)などの肖像はよく知られていて、今日でもフランスの小・中学校の教科書で挿絵として使われている作品もあります。 |
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▲レオン・ボナ『イタリア女』
© Musée Bonnat, Bayonne |
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アンリ・ゾ『ボナとバスクおよびベアルヌの弟子たち』
© RMN - R.G.Ojeda |
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▲アングル『水浴の女』
© Musée Bonnat, Bayonne |
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コレクションは、過去5世紀の美術史における、ヨーロッパのあらゆる流派を網羅したもの。なかでも、エル・グレコ(El Greco)やムリーリョ(Bartolomé Esteban Murillo)、リベラ(José de Ribera)、ゴヤ(Francisco de Gaya y Lucientes)といったスペイン絵画と、ダヴィッド(Jacques Louis David)やアングル(Jean Auguste Dominique Ingres)、ドラクロワ(Eugène Delacroix)をはじめとする19世紀フランス絵画のコレクションに定評があります。
数多くの傑作を有するこのミュゼで、とりわけ重要で有名な作品がアングルの『水浴の女』。ローマに滞在して以降、アングルが繰り返し取り組むことになるこのテーマの最初のバージョンで、イタリア・ルネサンス、とくにラファエロ(Raffaello Sanzio)の影響が見られる傑作です。 |
その他にも、ゴヤの自画像やジロデ(Anne Louis Girodet-Trioson)によるナポレオン1世(Napoléon I)の肖像画の習作(1807年頃)、ジェリコー(Théodore Géricault)の作品、もっと古いものでは、ルブラン(Charles le Brun)の絵画や、ルーベンス(Peter Paul Rubens)の『アポロンとダフネ』(1636年頃)といった作品に出会うことができます。 |
この美術館の魅力のひとつは、驚くほど間近で鑑賞できる作品があるということ。また、ボナが描いた社交界の肖像画が壁に飾られた「ボナの間」では、19世紀サロンのブルジョワ的な雰囲気を味わうことができます。そして、美術館の設立直後に作られたデッサン室は、その精巧な室内装飾がそのままに残された美しい空間です。 |
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▲肖像画が飾られた「ボナの間」
© Musée Bonnat, Bayonne- A.Vaquero |
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▲ミケランジェロ『アダムとイブのため習作』
© Musée Bonnat, Bayonne- A.Vaquero |
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レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)や、ラファエロ、ミケランジェロ(Michelàngelo Buonarroti)、レンブラント(Rembrandt Harmensz, van Rijn)、デューラー(Albrecht Dürer)らのデッサンの重要なコレクションが収められており、随時企画展で公開されます(予約閲覧も可能)。
パリから列車で約5時間。バスク地方の伝統が色濃く残るバイヨンヌの街を訪れたら、是非とも足を運んでみたい美の館です。 |
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所在地 |
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5, rue Laffitte, 64100 Bayonne |
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Tel |
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+33(0)5 59 59 08 52 |
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Fax |
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+33(0)5 59 59 53 26 |
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e-mail |
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開館時間 |
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5月2日から10月31日:10:00-18:30(火曜・祝日を除く)
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7月1日から8月31日:10:00-18:30
(水曜日は無料夜間開館:18:30-21:30) |
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11月2日から4月30日:10:00-12:30 14:00-18:00(火曜・祝日を除く) |
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デッサン室での閲覧には、書面による事前予約が必要です。 |
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入館料 |
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一般:5.5ユーロ
割引料金:3ユーロ
18歳以下:無料
※毎月第1日曜日は無料
(但し7月8月は除く) |
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URL |
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アクセス |
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バイヨンヌ(Bayonne)駅下車、徒歩約10分 |
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B1Fインフォメーションセンターでは、ボナ美術館の公式カタログを閲覧いただける他、パンフレットをお持ち帰りいただけます。 |
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詳しくはこちら→ |
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フランス南西部、バスク地方の中心都市。古くから交通・軍事の要衝で、近世には港町として栄えた。バスクの伝統文化を今に伝える街として知られ、8月にはバスク祭が行われる。また、フランスにおけるチョコレートやベレー帽の発祥地でもある。ボナ美術館のほか、バスク博物館やサント・マリー大聖堂、ヌフ城などの見どころがある。 |
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周辺の美術館 |
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チョコレート博物館 |
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交通 |
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パリ・モンパルナス(Montparnasse)駅からTGVでバイヨンヌ(Bayonne)まで約4時間50分。 |
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バイヨンヌ観光局 |
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*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。