公国宮殿跡の一翼にあり、豊富なコレクションを、由緒ある歴史的建造物の中で堪能することができる、素晴らしい美術館となっています。
ヨーロッパの東西と南北を結ぶ街道の要衝にあったディジョンは、ブルゴーニュ公国の王都として栄えました。特に14世紀半ば、フランス王の弟のフィリップ豪胆公(Philippe II/Philippe le Hardi)が公国を引き継いでからは、婚姻によってフランドル地方もその領土とし、一層強大になり、以後約1世紀にわたって輝かしい時代が続きました。2代後のフィリップ善良公(Philippe III/Philippe le Bon)の結婚式の盛大さはいまだに語り継がれ、ディジョンの宮廷の華やかさはフランス王家をもしのぐといわれたほどです。この結婚当日に、フィリップ善良公は騎士道の実践とカトリック信仰を規範とした騎士のエリート集団、金羊毛騎士団を結成しました。騎士団はのちに子孫の婚家であるハプスブルグ家に継承され、現在ではスペインとオーストリアで存続しています。
フィリップ豪胆公は、フランドルなどから優れた建築家、画家、工芸職人を招聘して、自らの霊廟のために設立したシャンモル修道院などの装飾にあたらせました。以後に続く大公たちも芸術の奨励に力を注ぎます。修道院にある名高い彫刻≪モーセの井戸≫の制作者、クラウス・スリューテル(Claus Sluter)、フランス・ブルゴーニュ地方ボーヌの施療院にある《最後の審判》を描いたファン・デル・ウェイデン(Rogier van der Weyden)、またフランドルの巨匠ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck )などが公国のために作品を残しました。
公国宮殿もその時代に建設されますが、17世紀にはゴシック様式を基本にヴェルサイユ宮殿を手がけたマンサール(Jules Hardouin-Mansart)が改装に着手します。18世紀にも手が加えられ、その結果、左右対象の正面外観、そして細部にはルネサンス様式など古い部分が混在する現在の姿となりました。
その一翼に美術学校が創設されたのは1766年のこと。美術館は1787年に美学生のために作られたものです。これはルーヴル美術館開館より早く、フランス最古の美術館のひとつといっていいでしょう。フランスの地方都市の美術館の多くは、1789年の革命後、共和国政府が民衆の啓蒙のために王家や貴族が所蔵していたコレクションを分散し、創設されたものが多いのですが、ディジョンの場合は中央からそうした通達が来る前に、独自で美術館を設立していました。これはディジョンが当時すでにたくさんの芸術作品を有していたこと、また芸術家育成のために優れた環境を与えるという進歩的な考えをもっていたことを示しています。
- 所在地
Palais des Etats de Bourgogne(entrée Cour de Bar) 21000 Dijon - Tel
+33(0)3 80 74 52 09
+33(0)3 80 74 53 59 - Fax
+33(0)3 80 74 53 44 - URL
http://dijoon.free.fr/mba/acc-mba.htm - 開館時間
<5月1日〜10月30日>
9:30-18:00
<11月2日〜4月30日>
10:00-17:00 - 休館日
火曜日
1月1日、5月1日、5月8日、7月14日、11月1日、11月11日、12月25日 - 入館料
常設展は無料 - アクセス
パリ・リヨン駅(Gare Lyon)からTGVで約1時間40分、ディジョン(Dijon)駅下車。ディジョン駅から徒歩
- MMFインフォメーション・センターでは、ディジョン美術館のカタログや展覧会図録などを閲覧いただけます。
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