ディジョン美術館は、古代エジプト美術から21世紀のコンテンポラリー・アートまで多岐にわたる豊かなコレクションを誇っています。近代・現代作品が展示されているのは、美術館の最上階。ロマン派、バルビゾン派、印象派などを展示する19世紀の作品展示室には、ジェリコー(Théodore Géricault)、モロー(Gustave Moreau)、ドラクロワ(Eugène Delacroix)、ルグロ(Alphonse Legros)、マネ(Édouard Manet)、セザンヌ(Paul Cézanne)、モネ(Claude Monet)などのおなじみの巨匠の秀作が並んでいます。また絵画だけでなく、ピカソ(Pablo Picasso)などに影響を与えたといわれるアフリカのオブジェと絵画などの対比も行っており、展示方法にもさまざまな工夫を凝らしていることが分かります。
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現代作品のフロアは、作家別にパネルで空間を区切って展示されています。作品の内容は非常に濃く、ニコラ・ド・スタール(Nicolas de Staël)、ヴィエイラ・ダ・シルヴァ(Vieira da Silva)、ラピック(Charles Lapicque)などの作品群が充実しています。
そしてディジョン美術館最大の見どころのひとつが、最上階から階段をさらに上がった屋根裏のような小部屋で展示されている、フランソワ・ポンポン(François Pompon)による動物の彫刻群です。この小ぢんまりした展示室は、さながら小さな動物園のような雰囲気です。
ポンポンはブルゴーニュ地方の出身で、ディジョンの墓石屋に奉公に出て石彫を始めました。自分のスタイルを模索したのち、1905年頃から動物を主題にした彫刻の制作を始め、生きた動物を森や農場、動物園で丹念に観察し、作品に仕上げていきました。美術館のコレクションは1948年にポンポンのアトリエから寄贈されたものです。精密に動物を模したものもあれば、シンプルな線で構成されているものまで作風は多岐に及び、ポンポンのスタイルが発展していく軌跡を見ることができます。滑らかで簡素なフォルムはポンポンがエジプト美術や日本美術に影響を受けた結果だともいわれています。彫刻家が67歳の時に発表した代表作≪白熊≫は、小型のものが壁のショーケースに入っています。その向こう側にある小さなカタツムリも、見逃さないでください。
このポンポンの展示室は、公国宮殿のなかでも最古の部分であるバール塔内にあります。天井が低く、太い梁、大きな暖炉、ルネサンス様式の四角い窓があり、中世の趣を色濃く残しています。


「動物には端っこはない――」。フランソワ・ポンポンが語った言葉です。1855年、ブルゴーニュ地方の町ソリューに生まれたポンポンは、その隣町ディジョン美術館に併設された美術学校で建築と彫刻の基礎を学びました。前述の言葉は、まさにポンポンの作品の真髄を語っています。ポンポンは、石目やすりや研磨紙、ときには手を使って、調和のとれた美しい線を生み出していきました。丸みのある独特なポンポンの作品は、1922年のサロンで大絶賛を受けることになります。それが代表作≪白熊≫です。
この時、ポンポンは67歳。かつては下彫り彫刻家としてロダンに師事したこともあるポンポンでしたが、偉大な先輩彫刻家の影響に縛られることなく、多くの人々を魅了する動物彫刻家となったのでした。
MMFブティックでは、モダニスムの頂点に達したポンポンの動物彫刻のムラージュ(複製彫刻)を手にとって、その独特のぬくもりを感じていただけます。

- 所在地
Palais des Etats de Bourgogne(entrée Cour de Bar) 21000 Dijon - Tel
+33(0)3 80 74 52 09
+33(0)3 80 74 53 59 - Fax
+33(0)3 80 74 53 44 - URL
http://dijoon.free.fr/mba/acc-mba.htm - 開館時間
<5月1日〜10月30日>
9:30-18:00
<11月2日〜4月30日>
10:00-17:00 - 休館日
火曜日
1月1日、5月1日、5月8日、7月14日、11月1日、11月11日、12月25日 - 入館料
常設展は無料 - アクセス
パリ・リヨン駅(Gare Lyon)からTGVで約1時間40分、ディジョン(Dijon)駅下車。ディジョン駅から徒歩

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