
© Yoko Masuda
19世紀末、印象派の画家たちがその才能を開花させた時代、革新的な画風を追い求めた彼らとは対照的に、ジャン=ジャック・エンネル(Jean- Jacques Henner 1829- 1905)は伝統を重んじるアカデミーの画家として活躍しました。サロンや芸術アカデミーを中心に着実にそのキャリアを重ねたエンネルは、当時のフランスの画壇におけるもっとも重要なアーティストのひとりに数えられています。
彼の死後、1921年にエンネルの甥の未亡人マリー・エンネル(Marie Henner)がエンネルの作品の展示のために17区のヴィリエ(Villiers)通りに邸宅を購入したのが、この美術館の始まりです。建物は1923年にコレクションとともに国へ寄贈され、その翌年、ジャン=ジャック・エンネル美術館として開館しました。
建物はもともとエンネルと交流のあった画家、ギョーム・デュビュフ(Guillaume Dubufe 1853-1909)の住居兼アトリエで、エンネルは生前にこの邸宅を訪れたこともありました。美術館はエンネルの作品の鑑賞と同時に、フランス第三共和政時代のアーティストのアトリエの内部を知ることのできる貴重な場所となっています。
建物はデュビュフの個人邸宅から、エンネルの作品を展示する美術館として新たに機能を変えるにあたり、1920年代から1930年代にかけてさまざまな工事が施されました。玄関部分の扉にはエンネルのイニシャルである « JJH »の鉄装飾が加えられ、ファサードにはエンネルのブロンズ像のレプリカが取り付けられます。またエレベーターの設置や階の増築など、大規模な工事も行われました。複数回にわたる工事によってデュビュフの邸宅の本来の趣は大きく失われていましたが、2008年から2009年にかけての改修工事によって当時の様子が蘇ることとなりました。建物の中央に設置されていたエレベーターは他の場所に移され、壁は調査によって見つけ出された当時の色に塗り替えられました。来館者を迎えるための環境の改善を図りながら、19世紀当時の邸宅内の様子ができる限り再現されたのです。
デュビュフが邸宅を所有していた当時、建物内にはルネサンス、オスマントルコ、アンダルシア、北アフリカ、中国など、さまざまな地域や文明の様式が融合した19世紀の典型的な折衷様式の装飾がなされていました。エジプト風の装飾が特徴的な2階のアトリエの壁は赤く塗り直され、オリエンタルな印象がより一層引き立てられています。
またオランダのデルフト(Delft)の陶器で装飾された中国風の暖炉がある1階の食堂は、今回の改装を機に新しい展示室として開かれることになりました。

- 所在地
43 avenue de Villiers 75017 Paris - Tel
+33 (0) 1 47 63 42 73 - Fax
+33 (0) 1 43 80 00 82 - URL
http://www.musee-henner.fr - E-mail
info@musee-henner.fr - 開館時間
11:00-18:00
*毎月第1木曜日は21:00まで開館 - 休館日
火曜、祝日 - 入館料
一般:5ユーロ
割引:3ユーロ - アクセス
パリの地下鉄3番線Malesherbes駅または2番線Monceau駅より徒歩
- MMFインフォメーション・センターでは、ジャン=ジャック・エンネル美術館のカタログやパンフレットなどを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。