博物館の展示は1760年に創業したオベルカンフの工場の歴史の紹介から始まります。ひとつめの展示室では1821年当時の工場の様子を再現した模型、インド更紗、布地の見本や注文書、当時の工場を描いた版画作品などが展示されています。ジュイ=アン=ジョザスの小さな借家から始まった手工業が、14haもの敷地をもつ巨大な工場に成長するまでの過程が紹介されており、インド更紗の解禁以降、フランスでプリント布地の産業が瞬く間に繁栄する様子が明らかとなっています。
ふたつめの展示室ではオベルカンフ家のサロンを再現しながら創業家についての紹介がされています。展示されている家具やドレス、オブジェ類はルーヴル美術館の寄託、またオベルカンフ家の子孫の寄贈によるもので、実際にオベルカンフ家で使用されていたものが大部分を占めています。オベルカンフやその家族の肖像画が飾られているサロンの壁には、博物館のコレクションをもとに印刷された1802年当時のインド風の花柄の壁紙が貼られており、トワル・ド・ジュイが効果的に室内を装飾する様子を実際に目にすることができます。
歴史に関する展示の後には、ジュイで使用されていた染料や印刷器具などを中心に、技術についての展示が続きます。トワル・ド・ジュイの製品は木版を使用した複数色の製品と、銅版を使用した単色の製品と、大きくふたつに分けられます。木版を用いた印刷は創業以来主流の方法であり、一枚の布地を仕上げるために複数の型を使用する、大変手間のかかる作業でした。しかし豊富な色を使った印刷が可能であるため、銅版の導入以降も木版は使用され続けます。銅版に関しては1770年より採用されますが、ジュイの工場で使用された3万種類にものぼるモチーフのなかで、銅版のモチーフの種類は木版のそれに比べはるかに少ない数でした。
しかしながら、この銅版を使用した単色使いのプリント布地がトワル・ド・ジュイの名を飛躍的に上げることとなりました。著名な画家ジャン=バティスト・ユエ (Jean-Baptiste Huet)デザインの《マニュファクチュアの作業》と題されたプリント布地は、銅版プレートで印刷した単色使いのトワル・ド・ジュイの代表的な作品です。布には工場における作業の手順がモチーフとなって印刷されており、布のデザインでありながら、当時のジュイの手工業の様子を知ることのできる、貴重な資料となっています。1797年になるとイギリスで発明された筒型の銅版を使用する技術が導入され、トワル・ド・ジュイの生産量は劇的な変化を遂げました。この銅版ローラーを使用する印刷技術によって、毎日5,000mもの布地にモチーフを印刷することが可能となったのです。
![]() © Musée de la Toile de Jouy |
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- 所在地
54 rue Charles de Gaulle
78350 Jouy-en-Josas - Tel
+33 (0) 1 39 56 48 64 - Fax
+33 (0) 1 39 56 17 98 - URL
http://www.museedelatoiledejouy.fr - E-mail
museetdj@jouy-en-josas.fr - 開館時間
11:00-18:00 - 休館日
月曜日、12月25日、1月1日 - 入館料
一般(企画展の期間):7ユーロ
一般(企画展の期間以外):5ユーロ
割引料金:3ユーロ
7歳以下:無料 - アクセス
RER C線プティ・ジュイ(Petit Jouy)/レ・ロージュ(Les Loges)駅より徒歩。 - 企画展情報
2010年の春、博物館ではオベルカンフのマニュファクチュアの創立から250年を記念して、展示内容のリニューアルが行われます。また2010年10月22日から2011年6月20日までの期間、庭園や田園風景がモチーフのトワル・ド・ジュイを植物のデッサンや版画とともに紹介する「野遊び」と題された企画展が行われる予定です。
- MMFにご来館いただきますと、インフォメーション・センターにて、トワル・ド・ジュイ博物館のカタログやパンフレットなどを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。