2階の展示室には、カーテンやベッド装飾のセット、コスチュームなど、プリント布地のさまざまな使用例を展示するとともに、色、デザインと、ヴァラエティに富んだトワル・ド・ジュイが年代別に紹介されています。マニュファクチュア初期の花柄のデザインは、インドやペルシャに影響を受けたものが主流でしたが、ジュイの位置するイル・ド・フランス地方の草花も大いにインスピレーションを与えました。こうした自然をモチーフとしたデザインは、のちに銅版を使った単色使いのプリント布地のデザインにも受け継がれていきます。
![]() © Musée de la Toile de Jouy |
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白地に赤や青で人物、田園風景が印刷された典型的なトワル・ド・ジュイのデザインの多くは、1783年にジュイのアトリエの主任デザイナーとして登用されたジャン=バティスト・ユエによって手掛けられ、彼の卓越した才能によってジュイのプリント布地の評判はよりいっそう高いものとなりました。展示室には田園風景以外にも政治の場面や諸外国の風景など、当時の出来事や文化が描かれたデザインのものが多く紹介されており、装飾としてだけでなく、歴史資料としても楽しむことができます。その他にも文学、音楽、神話、建築など、さまざまなジャンルのモチーフがトワル・ド・ジュイの豊かなデザインの源となりました。なかには歌劇『ドン・キホーテ』や『フィガロの結婚』など、わたしたちに馴染みのあるテーマをモチーフにしたデザインも見受けられます。19世紀初頭になると、褐色や紫を使用したものや、格子模様、うろこ模様などを背景にした白地の少ないデザインが現れ、時代ごとのデザインの傾向が窺えるのも印象的です。
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© MTJ/Yohann Deslandes
博物館ではジュイ=アン=ジョザス以外の地域で作られたプリント布地の展示も行っています。最後の展示室にはナント(Nantes)、ノルマンディ(Normandie)、アルザス(Alsace)、その他諸外国のさまざまなマニュファクチュアの製品が集められています。「トワル・ド・ジュイ」という名称は本来ジュイで作られたプリント布地を意味していましたが、しだいに人物入りの風景をモチーフにした単色のプリント布地の代名詞となり、たとえジュイ=アン=ジョザス以外の地域で作られたものであっても、このタイプの布地を呼ぶ際にはこの名称が使われるようになりました。ジュイのプリント布地の成功は当時それほど影響力のあるものだったのです。
洗練された美しいトワル・ド・ジュイの数々を鑑賞し終えた後も、楽しみが残されています。博物館にはトワル・ド・ジュイで装飾されたサロン・ド・テ、そしてトワル・ド・ジュイを使用した小物を扱うブティックが併設されており、引き続き美しい世界を満喫することができます。とてもエレガントに装飾された空間で、来館者からも人気があるそうです。
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- 所在地
54 rue Charles de Gaulle
78350 Jouy-en-Josas - Tel
+33 (0) 1 39 56 48 64 - Fax
+33 (0) 1 39 56 17 98 - URL
http://www.museedelatoiledejouy.fr - E-mail
museetdj@jouy-en-josas.fr - 開館時間
11:00-18:00 - 休館日
月曜日、12月25日、1月1日 - 入館料
一般(企画展の期間):7ユーロ
一般(企画展の期間以外):5ユーロ
割引料金:3ユーロ
7歳以下:無料 - アクセス
RER C線プティ・ジュイ(Petit Jouy)/レ・ロージュ(Les Loges)駅より徒歩。 - 企画展情報
2010年の春、博物館ではオベルカンフのマニュファクチュアの創立から250年を記念して、展示内容のリニューアルが行われます。また2010年10月22日から2011年6月20日までの期間、庭園や田園風景がモチーフのトワル・ド・ジュイを植物のデッサンや版画とともに紹介する「野遊び」と題された企画展が行われる予定です。
- MMFにご来館いただきますと、インフォメーション・センターにて、トワル・ド・ジュイ博物館のカタログやパンフレットなどを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。