© Yoko Masuda
フランス国王ルイ6世(Louis VI)が、曲がりくねったセーヌの流れを見下ろす「レー」の台地に城を建設したのは12世紀初頭のことです。以降、17世紀に至るまで歴代のフランス国王が住んだこのサン=ジェルマン=アン=レー城は、幾度もの再建と増築を経て、その姿を絶え間なく変化させてきました。1230年から1238年にかけては、ルイ9世(Saint Louis)によって城壁内にゴシック様式のチャペルが建設されます。このチャペルは鮮やかなステンドグラスで有名なパリのサント・シャペルの原型として、ピエール・ド・モントルイユ(Pierre de Montreuil)によって造られたと考えられています。
13世紀末から14世紀初期の間、城は引き続き増築を重ねますが、14世紀中頃に始まった百年戦争の際、塔とチャペルを残し、大部分を焼失してしまいました。しかし1364年から1367年にかけてのシャルル5世(Charles V)による再建や、1539年のフランソワ1世(François Ier)による再建によって、城は息を吹き返します。フランソワ1世による工事ではイタリアのルネサンス様式に影響を受けてレンガが使用され、現在の城の外観がこの時にできあがりました。工事は歴代の王に引き継がれ、現存する城「シャトー・ヴュー(Château Vieux/古城)」とは別に、「シャトー・ヌフ(Château Neuf/新城)」の建設も行われます。ルイ14世(Louis XIV)はこのシャトー・ヌフで生まれ、その後、子ども時代と在位中の1660年からは1年のほとんどの期間をシャトー・ヴューで過ごしました。1682年にルイ14世はヴェルサイユへと居を移しますが、それまでサン=ジェルマン=アン=レーはフランス国王の居住の地としてきわめて重要な場所であったのです。
国王がヴェルサイユへと移った数年後の1688年、サン=ジェルマン=アン=レー城は、フランスに亡命したイングランド王ジェームズ2世(James II)を迎え入れます。ジェームズ2世は1701年にこの世を去るまでの13年間をこの城で過ごしました。その後、城はフランス革命からナポレオン(Napoléon Bonaparte)、ルイ・フィリップ(Louis Philippe)の時代にかけて、監獄や騎兵学校として使用されます。
度重なる転用によって著しく荒廃した城は第二帝政時代についに取り壊しが決定されますが、1855年にフランスを公式訪問したイギリス女王ヴィクトリア(Alexandrina Victoria)が城を訪れた際、ナポレオン3世(Napoléon III)にその保存を要請したことで取り壊しを免れました。
それから間もない1862年、ナポレオン3世によって彼の考古学のコレクションがサン=ジェルマン=アン=レー城に集められることになったのが、この博物館の始まりです。博物館の開館に至るまで城は大規模な修復工事が施され、フランソワ1世の時代のルネサンス様式が見事に蘇りました。

そしてパリ万博の年である1867年に博物館は、7部門の展示室とともにその扉を開いたのです。1880年には学芸員であるアレクサンドル・ベルトラン(Alexandre Bertrand)の指揮のもと、44の展示室が一般に公開されます。そして開館以降、この博物館は考古学者の発掘と研究の成果とともにそのコレクションを増やし続けてきました。現在博物館は、およそ200万点という膨大なコレクションを有する世界有数の考古学の研究機関となっており、3万点近くにのぼる展示品を通して、紀元前から中世のメロヴィング朝に至るまで、フランス領内で交錯し、受け継がれてきた文化を余すところなく紹介しています。


- 所在地
Château - Place Charles de Gaulle
78105 Saint-Germain-en-Laye cedex - Tel
+33 (0) 1 39 10 13 00 - URL
http://www.musee-archeologienationale.fr/ - 開館時間
10 :00-17 :15
*祝日は要電話確認 - 休館日
火曜日 - 入館料
一般:6ユーロ
割引料金:4.5ユーロ - アクセス
RER A線サン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)駅より徒歩。
- インフォメーション・センターでは、国立考古学博物館の図録やパンフレットを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。
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