紀元前52年から476年のガロ=ロマン期の展示室は、大部分のコレクションがテーマ別に展示されています。博物館の7部門の中でも最も大きなスペースが割かれており、手工業製品の幅広い伝播や書き物の発展、神殿や信仰の変化の紹介などを通して、ガリアにおけるローマ軍の存在の重要性を説いています。宗教芸術の分野では、スコットランドから近東にまで拡大していた古代ローマ帝国の有形文化の数々を、地域ごとの区別を取り払うかたちで展示しています。中でも神話の神々の彫刻は、さまざまな地域から発掘されたものが同様のモチーフごとに集められており、当時の広範囲な文化の伝播を再確認できる展示内容です。
続く5世紀中頃から7世紀中頃にかけてのメロヴィング朝の部門では、細かい細工のなされた装飾品が見どころです。オブジェのほとんどが19世紀から20世紀前半にかけて埋葬施設から発掘されたもので、多様な種類の副葬品がここで紹介されています。地域や時代によって差異は見られるものの、装身具のほか、武器まで美しく装飾した当時の職人の熟練した技術が印象的です。ガーネットを使用した有線七宝や青銅製のフィビュラ(衣類を留めるブローチ)、象嵌細工を施したベルトなど、繊細なデザイン性のあるコレクションの数々は、歴史資料であるだけでなく芸術作品の趣すら持っています。
フランス領における人類の歴史の展示は紀元前に始まり中世で締めくくられますが、博物館ではこうした年代順の展示とは別に、いくつかの異なるコンセプトを持った展示室を設けています。かつて喜劇作家のモリエール(Molière)が作品を上演したという城内の演劇用の巨大なホールには、「比較考古学」のコンセプトで展示が行われており、中近東、アフリカ、アジア、アメリカといった世界各地で発掘された考古学のコレクションが一堂に集められています。年代、地域にとらわれない幅広いテーマの展示からは、考古学研究において切り離すことのできない民俗学や社会学の観点から人類の歴史を学ぶことができます。
また博物館の3階にある「ピエットの部屋」では、考古学者のエドゥアール・ピエット(Édouard Piette)が博物館へと寄贈した旧石器時代のコレクションをまとめて紹介しています。この展示室は1904年当時の博物館の展示の様子をそのまま再現しており、博物館学の要素を強く持っているのが特徴です。当時使用されていた展示ケースの中には、当時の展示方法でコレクションがぎっしりと隙間なく収められており、100年以上前の博物館の趣をそのまま味わうことのできる空間が作り出されています。この展示室はガイド付き見学に限られますが、コレクションの充実度だけでなく、その独創的なコンセプトからも、見逃すことのできない博物館の大きな見どころのひとつとなっています。

- 所在地
Château - Place Charles de Gaulle
78105 Saint-Germain-en-Laye cedex - Tel
+33 (0) 1 39 10 13 00 - URL
http://www.musee-archeologienationale.fr/ - 開館時間
10 :00-17 :15
*祝日は要電話確認 - 休館日
火曜日 - 入館料
一般:6ユーロ
割引料金:4.5ユーロ - アクセス
RER A線サン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)駅より徒歩。
- インフォメーション・センターでは、国立考古学博物館の図録やパンフレットを閲覧いただけます。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。
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