時計やミシン、自動車、飛行機といった、現代を生きる私たちが当然のように
その恩恵に浴している品々が、いつ、どのようにして発明され、
進化を遂げてきたのかを知ることのできる博物館です。
地球の自転を証明した「フーコーの振り子」や、世界初の歯車式計算機
「パスカリーヌ」といった有名な発明品を、間近で見ることができるのも魅力です。
2000年に開館したこの博物館も、今年ではや10周年。
科学と技術の遺産が並ぶ空間で、世界の歴史を変えた発明品のルーツを辿ってみました。
© Musée des arts et métiers-Cnam, Paris
19世紀後半は、フランスが産業技術の発展に邁進した時代として知られています。1851年のロンドン万博で、いち早く産業革命の成果を誇示したイギリスに追いつくべく、1855年と1867年、1878年、1889年にパリ万博を開催。フランスの文化と国力をアピールしました。しかし、フランスが国を挙げて科学者・技術者の育成に乗り出したのは、それより早い18世紀後半のことです。ナポレオン1世(Napoléon Ier)は1794年に、技術者のエリート養成学校「エコール・ポリテクニク(École Polytechnique)」を設立し、優れた科学者・技術者を国家の統括下に置くことの重要性を世界に示しました。
そして、技術者を育成するだけでなく、その発明品を展示することの重要性を説いたのは、グレゴワール神父(Abbé Henri Grégoire)でした。フランス革命の時代、特権階級・奴隷制度の廃止を唱えたことで知られる著名な政治家です。ヨーロッパにおける万博開催競争の渦中にあった当時のフランスでは、さまざまな発明家が競って便利な道具・機械を生み出していました。グレゴワール神父は、その産物を収集・保管することこそ重要だと考え、1794年、サン=マルタン=デ=シャン小修道院跡地に「フランス国立工芸院 (Conservatoire national des Arts et Métiers)」を創設したのです。国立機関による発明品の保管は、当時のヨーロッパでは初めてのことでした。
サン=マルタン=デ=シャン小修道院はもともと6〜7世紀頃にメロヴィング朝歴代の王の棺が祀られた王室の礼拝堂でした。1079年にブルゴーニュ地方のクリュニー修道院の所有地となった際に小修道院となりましたが、その後、フランス革命の混乱で修道士たちが去り、廃墟となっていました。この聖なる場所を国立工芸院に変えてさまざまな機械を保管することは物議を醸しましたが、1802年に工芸院のコレクションを一般公開する博物館が開館すると、人々は礼拝堂に並んだ発明品の数々に熱狂したと伝えられています。グレゴワール神父の提案により、それぞれの道具や機械の技術・仕組みを説明するデモンストレーターが配置されました。訪れた人々は、円周測定器、フランスの著名な発明家ヴォカンソン(Jacques Vaucanson)による自動機織り機といった、それまで見たこともなかった発明品に驚きを隠せなかったのです。
工芸院となった小修道院の老朽化した礼拝堂は1850年頃に修復が行われた後、1872年に改修され、現在の礼拝堂となりました。
- 所在地
60 rue Réaumur 75003 Paris - Tel
+33(0)1 53 01 82 00 - Fax
+33(0)1 53 01 82 01 - E-mail
musee@cnam.fr - URL
www.arts-et-metiers.net - 開館時間
10 :00-18 :00
*ただし、木曜は10:00-21 :30 - 休館日
月曜日、5月1日、12月25日 - 入館料
<常設展>
一般:6.5ユーロ
割引料金:4.5ユーロ
25歳以下:無料
<企画展>
一般:5.5ユーロ
割引料金:3.5ユーロ
4歳以下:無料
<常設展・企画展の共通チケット>
一般:7.5ユーロ
割引料金:5.5ユーロ - アクセス
地下鉄3番線・11番線アール・エ・メティエ(Arts et Métiers)駅より徒歩。
- テレビゲームに関する企画展。家庭用ゲーム機の歴史を紹介するコーナー、歴代のゲーム機の体験コーナー、ゲームクリエーターなどゲーム業界で活躍する人たちのインタビュー映像を視聴できるコーナー、歴代のゲームセンターの機械の展示コーナーという4つのテーマに沿って、ゲームの歴史を学ぶことができます。
- インフォメーション・センターでは、工芸技術博物館の図録やアルバム、パンフレットなどを閲覧いただけます。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。
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