© Fondation Le Corbusier
ピエール・サヴォワの注文から1ヵ月のうちに、ル・コルビュジエは数本の柱(ピロティ)に支えられた長方形の白い箱というイメージを提案します。サヴォワ氏の建築注文書の抽象的な表現を、ル・コルビュジエは創造力と表現力、そしてこれまで培ってきた経験を駆使して、20世紀建築の傑作と称されることとなるひとつの「形」に昇華させたのです。このサヴォワ邸は、当時の伝統建築に対抗する「近代建築運動」として、1927年にル・コルビュジエが提唱した五原則が厳格に取り入れられたことでも非常に重要な建物となりました。建築史の決定的な転換点となったル・コルビュジエの五原則とはどんなものだったのでしょうか。
「ピロティ」とは、箱を支える柱のことを指します。こうした柱を利用することで、建物が空中に浮かんでいるような感覚を見る者に与えます。ピロティに支えられた2階部分がメインホール、そして1階部分は玄関、使用人の部屋、ガレージに分けられました。さらにガレージの扉を緑色に塗ることで、周囲の自然に溶け込み、白い箱としての存在感がさらに引き立ちます。
今日でこそビルの屋上の緑地化は注目されていますが、その原初はル・コルビュジエだったといっても過言ではありません。それまでの建築様式では平らな屋上というのはまずありませんでした。建物を長方形の直線的な箱にすることで、上部にも平面空間が生まれ、ここを庭園として利用することなどは当時としては考えられないことだったのです。こうした屋上空間を確保することにより、ル・コルビュジエは空と建築物とが織り成す直線的でシャープな景色を目指しました。
鉄筋コンクリートを外壁として使用することにより、内側の仕切り壁を好きな場所に自由に設計することが可能になりました。従来の石造りの建物に必要とされた支え壁から、完全に解放されたのです。こうして、部屋の間取りも自由に設計することができるようになりました。
「ファサード」とは、フランス語で「外壁」を意味します。ル・コルビュジエはピロティを使用することで、ファサードも建物を支えるための機能から完全に解放しました。ファサードもまた、内部への採光と内部から見える景色を優先して自由に設計することが可能になったのです。
自由ファサードにより、壁の代わりに巨大な窓を設置することが可能になりました。これは「近代建築運動」において、最も重要な課題であった採光の問題の解決策として提案されたものでした。
- 所在地
82 rue de Villiers 75300 Poissy - Tel
+33(0)1 39 65 01 04 - E-mail
villa-savoye@monuments-nationaux.fr - URL
http://www.villa-savoye.monuments-nationaux.fr - 開館時間
10:00-17:00(3/1〜4/30および9/1〜10/31)
10:00-18:00(5/2〜8/31)
10:00-13:00、14:00-17:00(11/2〜2/28) - 休館日
月曜日、5月1日、11月1日、11月11日、12月25日〜1月1日 - 入館料
一般:7ユーロ
割引料金:4.5ユーロ
*18歳未満、身障者は無料 - アクセス
電車:RER A線でPoissy駅下車、バス50番線(La Coudraie行)で Les Œillets駅またはLycée Le Corbusier駅下車。
高速道路:A13またはA14Rouen方面、出口Poissy centre。
- インフォメーション・センターでは、サヴォワ邸のカタログ(日本語)やパンフレット、関連書籍などを閲覧いただけます。
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