この館は、幾度となく修復を繰り返してきましたが、間取りをあまり変えることなく、16世紀に建てられた当初の風情を残しています。ひとつひとつの部屋が決して広いとはいえないこの邸宅を、美術館に改装するのは容易ならぬことだったのでしょうね。展示スペースを確保するために、建物と建物が階段で繋がれているのですが、わたくしが残念に思いましたのは、その階段が特徴のないものだということ。立派な錬鉄製の手すりのある17世紀の石製の階段とは正反対の代物といってよいでしょう。
できれば、屋根裏部屋まで上がってみてください。企画展のために改装されたこの空間では、パリでもっとも美しい木組みの梁をご覧いただけます。伝統を受け継ぐ職人の技が生み出したその梁の素晴らしいことといったら! |
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▲ポール=ニコラ・メニエール《王家の肖像のある小箱》。
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