
1858年、パリである大事件が起きました。イタリア人革命家オルシーニ(Felice Orsini)がペルティエ国立オペラ劇場前で、フランス皇帝ナポレオン3世(Napoléon Ⅲ)の暗殺を企てたのです。暗殺は未遂に終わりましたが、一般市民に犠牲者が出る大惨事となりました。そして、このおぞましい出来事を人々の記憶から消し去るために、新オペラ座建設計画が持ち上がったのです。公募の中から見事、新オペラ座の建築家の座を射止めたのは、シャルル・ガルニエ(Charles Garnier)。オペラ座は1874年に完成、バロック様式とネオ・ルネサンス様式の豪華絢爛たる劇場が誕生しました。
オペラ座の建設にあたり、地下工事中に幽霊が出たという噂が広まり、この怪談を題材にガストン・ルルー(Gaston Leroux)が『オペラ座の怪人』を執筆したのは、よく知られるエピソードです。1964年にはシャガール(Marc Chagall)の天井画が設置されました。このプロジェクトは、作家であり、当時の文化大臣だったアンドレ・マルロー(André Malraux)が、親交のあったシャガールにオペラの演目を題材にした絵画を依頼したことで実現しました。
そして、このオペラ座の正面から延びるオペラ大通りの先にあるのがルーヴル宮です。その前身は、1190年、フィリップ2世(PhilippeⅡ)が外敵からパリの街を守るために建設された城塞。その後、1358年にシャルル5世(Charles V)が住居を構えて以来、王宮となりました。また17世紀には、現在のフランス銀行の前身となる財務機関や王室図書館(現在の国立図書館)、ルイ14世(Louis XIV)がパリでの住居としたパレ・ロワイヤルなど、ルーヴル宮の周辺には王室の関連機関が集中していました。

© RMN Photo - Perrot
フランス革命によって王制が事実上廃止になると、1793年にはルーヴル宮の一部が美術館として初めて一般公開されます。現在ルーヴル美術館の向かいにはチュイルリー公園があり、その敷地内ではモネ(Claude Monet)の《睡蓮》で有名なオランジュリー美術館と写真作品の企画が中心のジュー・ド・ポーム美術館が、人々の目を楽しませています。
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