先月に引き続き、今月のMMFwebサイト特集のテーマは「パリ近郊の中世の街」。パリから南東へ75kmの場所に位置する丘の上の街、プロヴァンをご紹介します。先月、シリーズ第一弾としてご紹介したサンリスと同様、城壁に囲まれたこの街は、12世紀から13世紀に「シャンパーニュ大市」の開催地として栄えた中世都市。中世の貴重な建築を含め、往時の姿をよくとどめた街並みが残り、2001年には「中世市場都市」としてユネスコの世界遺産に登録されたことでも知られています。
古代ローマ時代に起源を持つプロヴァンが、街として発展を遂げたのは中世のことです。シャンパーニュ伯(Comtes de Champagne)領であったこの地は、北欧、東欧、アフリカ、オリエントをつなぐ街道の交差点に位置し、「シャンパーニュ」大市が定期的に開催されました。そして、12世紀から13世紀には、ヨーロッパ有数の商業都市として繁栄することとなりました。街にはフランドル地方の毛織物商人やイタリアの金融業者、オリエントのスパイス商人など、各地からやってくるさまざまな商人が行き交い、さらには音楽家や文化人、大道芸人なども集う大市は、さながら祭りのようなにぎわいを見せていたといいます。
シャンパーニュ伯は護衛隊を配備して商人の安全の確保に努めたほか、出店に適した幅広い道の整備や商人に貸し出すための家屋の建設など、大市の開催を前提に、街の都市計画を進めます。こうした政策により、プロヴァンは当時のヨーロッパにおいて最も重要な市場都市として繁栄するに至りました。
陸上の交通と同様に河川にも恵まれたプロヴァンでは毛織物産業が盛んとなり、その品質は行き交う商人の取引によってヨーロッパ中で評判となります。また、13世紀にシャンパーニュ伯チボー4世(Thibaud IV/1201-1253)が十字軍遠征へと参加した帰りに、
ダマスカスのバラを持ち帰ったことをきっかけに、プロヴァンはバラの街としても名声を得るようになりました。その伝統は、現在も失われることなく、プロヴァンではバラの栽培が盛んに行われ、バラを用いたさまざまな製品が名産品となっています。
ヨーロッパの重要な商業都市、さらには金融都市として13世紀に最盛期を迎えたプロヴァンですが、その勢いは14世紀に入ると急激に失速します。商業用街道のルート変更によって市場が消え、さらに宗教戦争や疫病の流行が街の衰退に追い討ちをかけたのです。しかしながら、こうして大きな歴史の流れから遠ざかったことが、プロヴァンの街が中世の趣を失うことのないまま保存され続けるゆえんとなりました。現在市内の58の建造物が歴史的モニュメントに指定されており、それらの保存状態のよさと街の歴史的重要性から、2001年、プロヴァンはユネスコの世界遺産として登録されました。以来、観光客数は飛躍的に伸び、プロヴァンは世界中が注目するパリ近郊の重要な観光都市のひとつに数えられています。
- アクセス
パリ東駅より電車(SNCF)でプロヴァン駅まで約1時間半
- 所在地
Chemin de Villecran - BP 44 77482 Provins cedex - France - Tel
+33 (0)1 64 60 26 26 - Fax
+33 (0)1 64 60 11 97 - URL
http://www.provins.net/ - Eメール
info@provins.net
- B1Fインフォメーション・センターでは、プロヴァンの関連書籍を閲覧いただけるほか、パンフレットをご用意しております。
*情報はMMFwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMFにご来館の上おたずねください。
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