
20世紀ドイツを代表するアーティスト、クルト・シュヴィッタース(1887-1948)は、1928年、ディ・ノイエ・ザムルングの豊富なコレクションの素晴らしさを認めるとともに、仮住まいの建物は、そのコレクションに不釣り合いであると批判しました。美術館が企画した革新的な特別展がナチスの銃火を浴びたのは、そのすぐ後のことでした。そして1934年には、ディ・ノイエ・ザムルングはバイエルン国立美術館の管理下に置かれ、1940年から1946年には一時、閉鎖されてしまいます。独立した施設として再オープンを遂げたのは、第二次世界大戦後の1947年のことでした。
コレクションは増え続け、国際的な評価を得るようになりましたが、その建物の構造上、常設展示をすることは依然としてできませんでした。それでも、マックス・ビル(1908-)、ベルント・ビッヒャー(1931-)とヘラ・ビッヒャー(1934-)、シェーカー家具、アルネ・ヤコブセン(1902-1971)、デイヴィッド・カーソン(1954-)とTomatoといったデザイナーたちをテーマに、革新的で、時に分野を横断した特別展が開催され、ディ・ノイエ・ザムルングは国際的な名声を獲得していったのです。
1990年、コレクションにふさわしい建物を求める声の高まりを受け、バイエルン自由州は次世代に向けて、ふたつの新館の着工を決めました。それが、ディ・ノイエ・ザムルングがデザイン部門の統括を担うふたつの美術館―ミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネとニュルンベルク新美術館でした。そして、このふたつの美術館では、2008年以来、芸術とデザインを織り交ぜて展示するという、これまでにない新しい展示法を展開しています。
2002年に開館したピナコテーク・デア・モデルネは、分野の垣根を越えるというコンセプトを持ち、芸術、建築、グラフィックといった他分野のアートとデザインをひとつ屋根の下で紹介する美術館です。こうして、20世紀から21世紀の重層的なデザイン史をたどる包括的な常設展示が、世界で初めて一般の人々に公開されることとなったのです。
現在改装中のディ・ノイエ・ザムルング。改装後の新しい姿が楽しみです。
▲ピナコテーク・デア・モデルネ内のディ・ノイエ・ザムルングの階段。イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディッド(1950-)とドイツの工業デザイナー、ルイジ・コラーニ(1928-)によるオブジェが展示されている
▲ドイツの建築家フォルカー・シュタープが手掛けたニュルンベルク新美術館。建物内に見える巨大な靴のインスタレーションは、2010年、ザハ・ハディッドがブラジルのブランド「メリッサ」のためにデザインした靴を巨大化したインスタレーション[FIN]



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