2015年6月2日から7月26日まで東京藝術大学大学美術館で開催中の「ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし」展。日本ではまだ馴染みの薄いヘレン・シャルフベックですが、母国フィンランドでは国民的な女性画家です。今回日本で初めての回顧展は、出品点数はさほど多くないものの内容の充実度には注目。これを逃すとしばらく見られないかもしれない貴重な機会です。今月のMMMの国内の特集では、彼女の足跡とともに、展覧会で出会える感性あふれる見どころ作品もご紹介します。
ヘレン・シャルフベック(Helene Schjerfbeck/1862-1946)は、1862年、フィンランドの首都ヘルシンキに生まれました。印象派の画家モネ(Claude Monet/1840-1926)が22歳になる頃、そしてパリでは12年後に第1回印象派展が開かれようとしていた時代です。
彼女は3歳のときに不慮の事故に見舞われます。階段から落ちて左足が不自由となり、一生杖を手放せない体になってしまったのです。小学校には通えず、数名の家庭教師とともに勉強する日々を送る寂しい少女。しかし家庭教師のひとりが、彼女の中に眠る光を見つけてくれました。シャルフベックが描いた素描を見たある家庭教師がその絵の才能に気づき、素描画家に見せに行ったのです。そして彼女はわずか11歳でフィンランド芸術協会の素描学校への入学を許されます。この小さな一歩が、後の国民的女性画家シャルフベックを誕生させることになりました。
1870年代から1940年代までにわたる長い画業の間、シャルフベックは画家としての栄光と女性としての幸せの狭間で、苦悩し続けました。しかし、本展の出品作からは、どんな不幸や挫折に見舞われようと、懸命に絵筆を握り自立したひとりの女性であろうとした、シャルフベックの凛としたまなざしを感じとることができます。
シャルフベックは自画像とともに多くの肖像画を描きました。ヘルシンキやパリといった都会から離れた後も、モード誌を取り寄せ熱心に読んでいたというシャルフベック。女性画家ならではの感性が生きたファッショナブルな女性たちの肖像も、本展の華のひとつです。
仙台展 | 2015年8月6日(木)〜10月12日(月・祝) 宮城県美術館 |
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広島展 | 2015年10月30日(金)〜2016年1月3日(日) 奥田元宋・小由女美術館 |
葉山展 | 2016年1月10日(日)〜3月27日(日) 神奈川県立近代美術館 葉山 |
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ヘレン・シャルフベック展のチケットを差し上げます。MMMライブラリ(B1F)にて、ヘレン・シャルフベック展のチケット希望の旨を直接お伝えください。
※先着にてお1人様2枚まで。(チケットは10枚配布次第終了)
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。