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イベントレポート
EVENT REPORT

これまで開催したプログラムを
レポート形式でご紹介します。

MMMレクチャー
2019.11.29

「ハプスブルク帝国の威力を、美術、音楽、料理を通して知る」
第一部「ハプスブルクの音楽と美術」
第二部「美は食に通ず・ハプスブルク帝国の食文化」

日   時:
11月29日(金)18:00~20:00
会   場:
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル3階
講   師:
小宮正安氏(横浜国立大学教授)、神田真吾氏(オーストリア国家公認 料理マイスター)

現在、東京・上野の国立西洋美術館で開催中の「ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」(DNP協賛)(2020年1月26日まで)。この展覧会にちなみ、MMMではおふたりの講師をお招きして、アートレクチャーが行われました。

▲第一部講師:小宮正安(こみや まさやす)※敬称略
ヨーロッパ文化史研究家、音楽評論家、横浜国立大学教授。

 今回のレクチャーは、いつもとは異なる三部構成。第一部は、横浜国立大学教授でヨーロッパ文化史研究家、音楽評論家の小宮正安先生がご登壇されました。「本日は、ハプスブルク帝国、そしてウィーンの魅力について美術や音楽を通じて皆様と一緒に考えていきたいと思っています。お仕事帰りでお疲れの方もいらっしゃるでしょうから、こっくりこっくりされても全然構いません」と、親しみやすい口調でお話しされると会場からは笑い声が漏れました。
 ウィーンが芸術の都、音楽の都になったのは、1508年に神聖ローマ帝国の皇帝となったマクシミリアン1世の功績があったからと小宮先生は明かします。「ハプスブルク家の当主に欠けているもの、それは文化力でした。ヨーロッパの代々の君主は軍事力や経済力があっても、文化力のない君主や国家は二流と言われていました。ハプスブルク家は結婚政策によって、帝国が大きくなったと言われますが、実は文化政策があったからこそ、他国が喜んで彼らと縁組をしてくれるようになったのです。つまり、文化力なくして名家はなかったといえるでしょう」。

▲第二部講師:神田真吾(かんだ しんご)※敬称略
銀座ハプスブルク・ファイルヒェン代表。
日本で唯一のオーストリア国家公認 料理マイスター。

 さらに、テレビもラジオもインターネットもないこの時代、一番多くの人に発信できるメディアが「音楽」でした。しかも絵画や彫刻と異なり、持ち運びも容易。ハプスブルク家にとって、宮廷楽団は絵画や彫刻と並ぶ大事なメディアだったそうです。「ウィーン少年合唱団、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場と、音楽の都ウィーンを象徴するような大本は、マクシミリアン1世が力を注いだウィーン宮廷楽団にあったのです。1918年にハプスブルク帝国は崩壊しますが、今でもウィーンが音楽の都、芸術の都、オーストリアが芸術の国と言われるのは、背景にハプスブルク家の文化政策があったからこそ。オーストリア共和国は体制は違えど、そのような遺伝子を受け継いでいる、と考えることができると思います」。小宮先生のまるでタクトをふるっているかのような巧みな“演奏”に皆さん引き込まれ、ハプスブルク家に改めて強く魅了されたようです。

 そして第二部は、オーストリア食文化の継承者と認められた「オーストリア国家公認キュッヘン(料理)マイスター」の資格を持つ「銀座ハプスブルク・ファイルヒェン」のオーナーシェフ、神田真吾氏がご登場。「美は食に通ず・ハプスブルク帝国の食文化」をテーマに、冗談を交えながらお話ししてくださいました。なかでも、マリア・テレジアが愛したと言われる「オリオスープ」という貴重なスープが試飲できるサプライズも。「16回の妊娠出産を繰り返したマリア・テレジアが、一日に6~8回くらい飲んだと言われている滋味豊かなスープです。約10キロの肉と35種類の食材を使って4日間かけて作ります。ゼラチン質が非常に豊富で、高たんぱく。塩が一切入っていないのに、塩味を感じる複雑な味のスープです。サフランが入っているのですが、当時は、年間7~40キロ使ったと言われており、それだけでもハプスブルク家の相当な資金力がうかがえますよね」。皆さんそのお話に驚きつつも、口をそろえて「香りも豊かで非常に美味しい」と舌鼓を打たれていました。

 「最近は星がつくようなレストランを目指してグローバル化した料理になってきていますが、古き良きもの、本物はどんな時代でも残っていく。それを信じて、僕はオーストリアの伝統を守りながら料理をし続けていきたいと思います」と神田シェフは、オーストリア料理への情熱を語ってくださいました。
 第三部は、マリア・テレジアが小学校を建設した場所で収穫したブドウを使用しているオーストリアのワイン「ツァーヘル」が配られ、小宮先生とともに、オーストリア語の掛け声「プローズィット!」で乾杯。その後、DNPの音楽団体「フィルハーモニック・アンサンブル」が、DNPが2019年8月に開発した楽譜配信・活用サービスアプリ「MuseCloud」を使用して、オペレッタ「こうもり」より『シャンパンの歌』を披露しました。この季節にピッタリな音楽で一気に華やかになった会場では、ワインを楽しみながら参加者同士の会話も弾んでいる様子。ハプスブルク帝国を五感で存分に楽しんだ一夜となりました。

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