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Chers amis,親愛なる日本の皆さまへ

パリ東駅から列車に揺られて1時間──本日は皆さまを、ここノジャン=シュル=セーヌに開館したばかりのカミーユ・クローデル美術館へとご案内いたしましょう。世界でもっとも大規模なカミーユ・クローデル(1864-1943)の彫刻コレクションを有するこの美術館の開館は、とても重要な出来事です。なぜなら、芸術家としての存在意義の大きさにもかかわらず、これまでカミーユ・クローデルの名前を冠した美術館はなかったからです。そして今、この近代的な女性アーティストの類稀なる才能にオマージュを捧げ、43点の作品を展示するこの美術館がオープンすることで、これまでの不当な状態からようやく脱することができました。

美術館では、彫刻が流行した19世紀末から20世紀初頭の非常に興味深い彫刻作品群が展示されています。カミーユ・クローデルに加え、現在は忘れられてしまった3人の重要な彫刻家──ノジャン=シュル=セーヌに暮らしたマリウス・ラミュ(1805-1888)、ポール・デュボワ(1829-1905)、アルフレッド・ブーシェ(1850-1934)の再評価をすべく、その作品に光を当てているのです。

これらの多様なコレクションは、今回、新たに美術館として生まれ変わった建物で展示されることになりました。美術館の建物はカミーユ・クローデルが子供時代を過ごした家と、建築家アデルフォ・スカラネッロが新たに設計したキューブ型の現代的な建物から成っています。自然光を取り込んで作品を引き立てる大きな窓のあるこのキューブ型の建築は町に向かって開かれており、町の歴史的な景観とその環境に完璧にとけこんでいます。ファサードには昔ながらの製法で作られたレンガが用いられ、彫刻の素材である土との親和性を生んでいます。

美術館の入口には、カミーユ・クローデルの《シャクンタラー》(1836年)が置かれ、その圧倒的な印象で来場者を迎えています。これはインドの悲劇に着想を得たもので、情熱的な愛を表わしています。ドゥフシャンタ王子と望外の再会を果たしたシャクンタラーが、王子の腕に完全に身を委ねる場面です。

美術館の展示コースを巡っていますと、カミーユ・クローデルが生きた芸術世界へ一歩ずつ深く入り込んでゆくことができます。始まりは、彼女の彫刻家としてのキャリアのスタート。そこにはどのような背景があったのか、作品とともに理解できる展示になっています。

1階は、1880年から1914年のフランス彫刻の黄金時代から始まります。1902年に、彫刻家アルフレッド・ブーシェが、ほかの芸術家たちの協力を得て、ノジャン=シュル=セーヌに市立美術館を創設します。目的は若い芸術家たちに彫刻を知らしめることでした。

最初の展示室は、アトリエの資料の一部を寄贈することで美術館創設に関わった彫刻家たちの作品にあてられています。いくつかの肖像が展示されていますが、まずはマリウス・ラミュの自画像、ポール・デュボワ作のヴィンチェンツォ・ジェミートのブロンズ像、そしてピエール・ジャマン(1872-1975)作の立派な髭をたたえたアルフレッド・ブーシェの石膏像に目を奪われます。そして、カミーユ・クローデルもここにいることにお気付きでしょうか? アルフレッド・ブーシェ作のみずみずしい気品溢れる傑作《読書する若い娘》(1879年または1882年)と、オーギュスト・ロダン(1840-1917)作の《フランス》(1902-1903年)をよくご覧になってみて。それらのモデルをつとめたのが、カミーユだったのです。

Update : 2017.8.1

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