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フォンテーヌブロー城のナポレオン美術館マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。 バックナンバーを読む
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皇女たちの肖像画(ナポリ王妃カロリーヌ、トスカーナ女大公エリザ、際立って美しいボルゲーゼ侯爵夫人ポーリーヌ)には、必ず帝政に由来するものが描きこまれています。例えば、エリザの肖像画に描かれたカッラーラの大理石製の古代の胸像などです。マリー=ルイーズはというと、マリー=ギユミン・ブノワ(1768-1826)による全身像《フランス皇后陛下の肖像》(1812年頃)で、皇帝の玉座を背に描かれています。彼女は宮廷礼服の上に、ミツバチの刺繍を散らしたアーミンの毛皮で縁を飾った皇后のマントをはおっています。
《裁判権を有する君主ナポレオン1世の肖像》(1812年)は、当時広く知られていた肖像画です。36の控訴院に飾るためにアンヌ=ルイ・ジロデ(1767-1824)に公式に注文されました。正装したナポレオンは権威と力強さを感じさせます。右手では、十字架をいただいた地球を指し、自らがローマ帝国初のキリスト教徒の皇帝コンスタンティヌス(280-337)の後継者であることを示しています。また同時に、1804年に公布された、大きな法律上の改革である民法典(1807年にナポレオン法典と呼ばれることになります)も示しています。左手にはヨーロッパの皇帝であるシャルルマーニュ(742-814)を思わせる杖を持っています。

最初の展示室は「ナポレオン1世、フランス国民の皇帝にしてイタリアの王」に充てられています。左手の大きな展示ケースには、素晴らしい品々が並べられています。青銅、赤碧玉、クリスタルでできた「聖別式の剣」と呼ばれる第一統領の剣(1801/1812年)は、今日残されている唯一の聖別式由来の品です。小さなタバコ入れには、ナポレオンの頭髪と、金銀細工師マルタン=ギヨーム・ビヤンネ(1764-1843)が制作した月桂樹の冠の44枚の葉のうちの一枚が入っています。また同じくビヤンネ作の素晴らしい《皇帝の剣》(1806年)は、柄が純金で、鞘は一枚の鼈甲に金をはめ込んだものです。

金糸の刺繍が施された緑色のシルクビロード製の非常に質の高い衣装は、1805年5月26日にナポレオンがイタリア王として戴冠した際に着用したものです。皇帝としてのナポレオンの聖別は大変なイベントで、儀式は壮麗を極めました。ここでは、フランソワ・ジェラールのアトリエによる《聖別の衣装を着たナポレオン1世の肖像》(1805-1811年)にその姿を見ることができます。ナポレオンは、金色のミツバチの刺繍を散らした深紅のビロードの皇帝のマントを身につけ、鷲がついた杖を手にしています。頭には月桂樹の冠を頂き、アーミンの毛皮の長衣の上にレジオン・ドヌールの大きな勲章を下げています。ジョゼフィーヌはというと、フランソワ・ジェラール作《戴冠式の衣装を身につけた皇后陛下の全身像》(1808年)で、ミツバチの模様がついた玉座に腰掛けています。ジャック=ルイ・ダヴィッドとそのアトリエによる《ピウス7世の肖像》(1805年)では、教皇は金の豊かな刺繍が施された赤いシルクのストラ(肩にかける帯状の布)を身にまとい、思慮深い表情をたたえています。

Update : 2019.4.1

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