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フォンテーヌブロー城のナポレオン美術館マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。バックナンバーを読む
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ふたつ目の展示室は、帝室の食卓の豪華さに光を当てています。
その様子は、奥の壁に掛けられたカサノヴァ(1770-1844)の絵画《皇帝ナポレオン陛下のオーストリア皇女マリー=ルイーズとの結婚の際にチュイルリー城で催された祝宴、1810年4月2日》に完璧に再現されています。皇帝の食卓には、金銀細工師アンリ・オーギュスト(1759-1816)の手による金メッキを施した銀製の豪華な食器一式が並べられています。およそ1,000点から成るこの食器セットは、パリ市からナポレオンに贈られたもので、展示ケースにもその一部が飾られています。中には、ネフ(船の意味)と呼ばれる銀製のナプキン・ホルダーもあり、皇帝のネフ(1804年)は公正と慎重の擬人像、皇后ジョゼフィーヌのネフ(1804年)は三美神と寛容の擬人像と帝室の鷲があしらわれたじつに見事な品です。帝立セーヴル製陶所が特別に製作した食器セットの絵柄は、ナポレオン自身が選んだもので、エジプト遠征のような「よき思い出」を皇帝に想起させたに違いありません。

三つ目の展示室には、同じセーヴル製陶所による、国宝に指定されている類いまれな陶磁器が展示されています。例えば中央の展示ケースには、白い羽飾りのついた帽子にエレガントな狩猟服姿のマリー=ルイーズの非公式な肖像画が楕円形のメダイヨンに描かれた紡錘形の壺があります。その両側には紡錘形の壺があります。一方にはローマ皇帝アウグストゥスの肖像が描かれ(1811-1814年)、もう一方はユリウス・カエサルのカメオの肖像で飾られています(1811-1814年)。これらは、皇帝ナポレオンが自分の息子のための理想としていた古代ローマの祖先たちを象徴的に参照しています。その下にあるのは、マリー=ルイーズが皇帝の母に贈った《帝室の皇女たちの盆》(1812年)。これは、ナポレオン一族の集団肖像画となった、世界でただひとつのユニークなテーブルウェアセットなのです。ティーポットにはナポレオンとマリー=ルイーズの肖像が、ティーカップには皇女たちの肖像、砂糖壺には、レジオン・ドヌールと鉄の王冠の綬を身につけた生後わずか数ヵ月のローマ王が描かれています。

照明が落とされた薄暗い次の展示室には、ナポレオンが軍事遠征で使っていたテントが再現され、その洗練された様子を見ることができます。テントにはふたつのスペースがあり、一方のスペースは折りたたみ式の鉄のベッドが置かれた就寝スペース、もう一方はテーブルと折りたたみ式の肘掛け椅子2脚のある執務のためのスペースとなっています。テーブルと椅子はジャコブ=デマルテ(1770-1841)がデザインしたものです。灰色のフロックコートと、黒いフェルト製の有名な二角帽が、ナポレオンの服装の簡素さをよく表しています。

そして次の部屋が「ナポレオン・システム」の展示室。コンソールテーブルの上のブロンズ像《地図を研究するナポレオン》(1809年)に見られるように、かつてフランスとヨーロッパがこの皇帝の手中にありました。征服され、ナポレオンの家族に割り当てられたさまざまな王国もここで紹介されています。ナポリ王国に関連するものとしては、ナポリのアトリエで制作したサンゴで装飾されたチェス用のテーブルと、暖炉の上にあるカロリーヌの胸像、また、トスカーナ公国については、フィレンツェの天然石のアトリエで制作されたもうひとつのチェス用テーブル(1811-1813年)のチェス盤があります。展示ケースにはブロンズに金メッキしたマルタン=ギヨーム・ビヤンネ作の小さなかわいらしい胸像がふたつ置かれていますが、一方がグアスタラ公国の公妃となったポーリーヌ、もう一方がナポリ王国の王妃となったカロリーヌのものです(1810年頃)。次の展示室には帝国後継者に関するものが展示されています。楡材と金箔を施したブロンズの豪華な揺りかご(1811年)、そしてフランソワ・ジェラールによるかわいらしい《ナポリ国王陛下の肖像》(1812年)は、ナポレオンの息子がまだ1歳半に満たない頃のもので、当時軍事遠征中だったナポレオンに皇后が送ったものです。この息子は母とともにオーストリアに戻った後、ライヒシュタット公爵の称号を得、21歳の若さでこの世を去ります。
最後の展示室は帝国の崩壊をテーマにしています。ジャン=バティスト・モーゼス(1784-1844)による感動的な作品《セント・へレナ島の岩に立つナポレオン》(1824年)は、失脚した皇帝の死の3年後に描かれましたが、彼の比類なき運命の記憶を永遠のものにしています。

ヨーロッパ主要国の同盟軍に対して数々の戦場で勝利を収めたフランス史の主要人物ナポレオンは、自らの伝説を世に広く知らしめることに成功しました。彼の統治下でフランスは中央集権国家として組織化され、国務院や県庁、フランス銀行などの新たな機構の創設により国家として大きく再編成されたのです。また、ミュージアムピースとなるような職人仕事が発展した時代でもありました。この度のナポレオン美術館の再編は、まさに傑作の名にふさわしい素晴らしい作品を見せてくれるだけでなく、ナポレオン・システムをよりよく理解する一助ともなっています。現在の展示は10年にわたって収集されたコレクションのお披露目の場。将来的にはふたつの階を使ってより多くの作品を皆さまにご覧いただくことになるそうで、これからの展示にも目が離せません。

友情を込めて。

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Update : 2019.4.1

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