県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館
闇に浮かび上がる情景、その精神性に満ちた光と影の表現によって、一度でもその作品を見た人に忘れがたい印象をもたらす画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour 1593〜1652)。今春、世界でも滅多に行われることのない稀作の画家ラ・トゥールの展覧会が、日本国内で開かれるという機会に恵まれます。今月は、その展覧会に貴重な作品を送っている、ラ・トゥールの名を持つユニークな美術館、モゼール県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館について、同館が所蔵するラ・トゥールの作品「荒野の洗礼者聖ヨハネ(Saint Jean Baptiste)」に注目しながら、美術館から届いた同館館長の声とともにご紹介いたします。

県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館ガブリエル・ディス館長に「荒野の洗礼者聖ヨハネ」やラ・トゥールについて伺いました。
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2005年3月8日 ディス館長が、
MMFに来館されました。

《荒野の洗礼者聖ヨハネ》
油彩/カンヴァス81×161cm
県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館蔵

「再発見」を遂げた画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
ラ・トゥールは1593年、フランス北東部、当時はフランスとは別の歴史を歩んでいた独仏国境の小国ロレーヌ公国の町に、パン屋の息子として生まれました。彼が画家として活躍した時期、ロレーヌ公国は各国の勢力争いのもとで激しい戦火の中にあった時代。ラ・トゥールの芸術に見られる深い精神性は、この時代に生きた人々の現実と心情が深く影を落としていると言われています。ラ・トゥールはルイ13世のお抱え画家に指名され、ルーヴルのギャルリーに居を構えたという記録も残っているのですが、没後急速に忘れ去られ、その存在は、20世紀になりドラマチックな「再発見」を遂げます。1915年、ドイツの美術史家が「夜の絵に優れていて、ルイ13世に気に入られた」としてこの地方に残された資料に登場する画家ラ・トゥールと作者不詳の作品とを結びつけ、“稀に見る天才を闇の中から浮かび上がらせる”ことに成功したからです。1934年パリのオランジュリー美術館で初めてラ・トゥールの作品が展覧されて以降、次々と彼の作品が明らかになっていきますが、まだその全貌は解明されておらず、残存作品数およそ40点という真作の少なさもあいまって、ヴェールに包まれた17世紀の神秘の画家として脚光を浴びるようになりました。

ラ・トゥールの名を冠したユニークな美術館
そのラ・トゥールの名を冠したユニークな美術館は、ラ・トゥールの故郷の町、ヴィック=シュル=セイユ(Vic-sur-Seille)の画家生誕の地に建っています。そして、ラ・トゥールが洗礼を受けたサン・マリアン教会の前に建つ18世紀の邸宅を一新した、この美術館の名を“ラ・トゥール”たらしめているのが、美術館が所蔵する彼の傑作「荒野の洗礼者聖ヨハネ」なのです。

「荒野の洗礼者聖ヨハネ」発見と美術館誕生のドラマ
この作品もまた、ラ・トゥールの存在同様に、劇的な「発見」を経てこの町に迎え入れられたものでした。1993年、パリのドルウォー競売所のオークションで出品されていた作者不詳の作品が、科学的な裏付けを経てラ・トゥールのものと判明。国とモゼール県(ヴィック=シュル=セイユの位置する県)による作品の購入をきっかけに、この作品のために県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館が開設されました。

 Musée Départemental Georges de La Tour
 県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館
所在地:Place Jeanne d'Arc 57630 Vic-sur-Seille
開館時間: 4/1〜9/30 9:30-12:00, 14:00-19:00
10/1〜3/31 9:30-12:00, 14:00-18:00
休館日:5/1,12/23-1/7
入館料:一般:3ユーロ
16歳未満:無料

■ MMFで出会えるラ・トゥール
ブティックでは ラ・トゥールの絵画作品に着想を得たアクセサリーをご紹介、インフォメーションセンターではラ・トゥールの作品を鑑賞できるミュゼ・ド・フランスのご案内、グラン・パレで開催された大回顧展ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの希少な展覧会カタログ、県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館のコレクションガイド他詳細資料の閲覧など、MMFならではのラ・トゥール情報もお見逃しなく。

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。

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