マダム・ド・モンタランベールのミュゼ訪問VOL.1 パリ・ロマン派美術館
MMFのwebサイトをご覧になっているみなさまに、パリから素敵な便りが届きました。差出人は、美術を心から愛するマダム・ド・モンタランベール。日々、美しいもの、真なるもの求める彼女は、四季折々に輝くミュゼの上質な愉しみ方を教えてくれます。フランスへ旅立つとき、このコーナーにお誘いが届いていたら、マダムの隠れ家のようなミュゼに足を伸ばしてみませんか。
ご機嫌いかがですか?
今日は、先日わたくしが訪れたパリのロマン派美術館(Musée de la Vie Romantique)がとても素晴らしかったことをお伝えしたくて、筆をとりました。

わたくしがこのミュゼを訪れたのは、一年の中でもこの時期に、花々に満ちた庭園を持つパリでも珍しいミュゼであるから。この美術館は、9区のヌーヴェル・アテネ(19世紀の作家たちが足しげく通った文学カフェにちなむ名前です)と呼ばれる地区にあります。当時の典型的な美しい建物が立ち並ぶ界隈です。

このミュゼには、シェフェール=ルナン館と呼ばれる魅力的な本館、アーティストのための2つのアトリエ、そして庭園があります。

画家のアリ・シェフェールが、1830年に亡くなるまで住まいとしていました。

ドラクロワ、ジョルジュ・サンドそしてショパンといった、それこそ19世紀パリ中の知識人と芸術家がこの館に集い、邸宅、中でもサロンには、今もなおロマン派の雰囲気が色濃く残されています。

とりわけ、ジョルジュ・サンドについては、彼女が書いた手紙や、ゆかりの品々がご覧になれます。

そして今、お勧めしたいのは、開催中の展覧会「コレクション・ブラジリアーナ」。この展覧会では、ブラジルを旅した19世紀のヨーロッパの芸術家たちによる絵画作品が展示されています(今年はフランスにおけるブラジル年なのです!)。

このコレクションには、とても興味を惹かれました。といいますのも、これらの風景画の中に、ブラジル、アマゾンの森林そしてリオ湾の、あらゆる明るさを見出すことができるのです。特にわたくしを感動させたのは、詩情溢れるリオ湾の雰囲気を素晴らしい繊細さと軽快さで描いたB.マリーの3mにも及ぶパノラマです。また、彼の地の人々の情景が息づく風景を見事に描き出したJ.J.スタインマンの記念画集も、同様に素晴らしいものでした。

そして、ミュゼ訪問の締めくくりには、かつての温室が活かされたサロン・ド・テで一休みなさることを、ぜひともお忘れにならないで。

さらに、庭園に腰を下ろす時間が許されるなら、大都会の只中にいるとは思えない印象を抱かれることでしょう。このミュゼでは間違いなく、この上ないひとときを過ごすことができるのです。

ロマン派美術館/ Musée de la Vie Romantique
住所 16, Rue Chaptal 75009 Paris
Tel   01 55 31 95 67
Fax   01 48 74 28 42
開館時間   月曜、祝祭日を除く毎日10時から18時
入館料   7ユーロ、割引:5.50ユーロ、学生料金:3.50ユーロ
メトロ   St Georges, Place Blanche
開催中の展覧会
コレクション・ブラジリアーナ
ブラジルを旅したロマン派の画家たち(1820−1870年)
インフォメーションセンターでは、日本語の解説もあるロマン派美術館パンフレットをお持ち帰りいただける他、同館開催の「コレクション・ブラジリアーナ ブラジルを旅したロマン派の画家たち」展図録も閲覧いただけます。
同じ地区にある「ギュスターヴ・モロー美術館」もぜひ訪れてみてください。
マダム・ド・モンタランベールについて
本名、アンヌ・ド・モンタランベール。
美術愛好家であり偉大な収集家の娘として、芸術に日常から触れ親しみ、豊かな感性が育まれる幼少時代を過ごす。ブルノ・デ・モンタランベール伯爵と結婚後、伯爵夫人となってからも、芸術を愛する家庭での伝統を受け継ぎ、ご主人と共に経験する海外滞在での見聞も加わり、常に芸術の世界とアート市場へ関心を寄せています。アンスティトゥート・エテュディ・デ・スペリア・デザール(IESA)卒業。