クリスマスの古都ストラスブール過去と現在が交錯するストラスブール

過去と現在が交錯するストラスブール

現代に生きる中世、 ルーヴル・ノートルダム 博物館旧市街の中のモダン、 ストラスブール 近現代美術館
 「道の街」を意味するその名が示す通り、古くから交通の要衝として繁栄した街ストラスブール。旧市街には、先月ご紹介したロアン宮殿のストラスブール美術館をはじめ、その歴史を今に伝える美術館が数多く点在します。なかでも見逃せないのは、ルーヴル・ノートルダム博物館とストラスブール近現代美術館。ふたつのミュゼを巡り、ロマネスクから現代に至るまでのストラスブールの美を辿ってみませんか。

現代に生きる中世、ルーヴル・ノートルダム博物館

▲尖塔が目を引くストラスブール大聖堂。
© Jean-Yves Fick
 

ライン川の支流、イル川に囲まれた旧市街で、ひときわ目を引くノートルダム大聖堂。「バラ色の天使」「貴婦人」などの愛称で親しまれている、この街のシンボルです。11世紀にロマネスク様式で創建され、13世紀に優美なゴシック様式へと生まれ変わったこの大聖堂の歴史をつぶさに辿ることができるのが、隣に建つルーヴル・ノートルダム博物館(Musée de l'Œuvre Notre-Dame)です。
 その歴史は古く、神聖ローマ帝国の時代にまでさかのぼります。当時のストラスブールは、大聖堂建築のためにヨーロッパ中からすぐれた職人たちが集められ、多大な名声を博していました。現在の博物館の前身となった「ルーヴル・ノートルダム事業団(La Fondation de l'Œuvre Notre-Dame)」は、大聖堂の建築とその管理を司る団体だったのです。

▲大聖堂から見たルーヴル・ノートルダム博物館。
© Jean-Yves Fick
 

博物館の建物は、切り妻屋根をもつ赤砂石造りのふたつの建物からなり、左の部分は、1347年に造られ、16世紀に改修されました。豊富な渦巻き装飾のある右のファサードは、 1579年、建築家ハンス・トマン・ウルベルゲー(Hans Thoman Uhlberger)が、ルネサンス様式と後期ゴシック様式の融合スタイルで設計しました。

▲ステンドグラスの展示室の作品。
© Jean-Yves Fick
 

歴史のなかで数々の被害を受けたものの、フランス革命の難を逃れることのできたこの建物は、中世からルネサンスにかけてのストラスブール芸術の繁栄を現代に伝える貴重な遺構でした。そして、1931年から1939年、ストラスブール美術館館長を務めていたハンス・ハウグ(Hans Haug)の熱心な努力の末に、博物館へと生まれ変わったのです。
 博物館の展示は、ロマネスク時代から始まります。12世紀から13世紀、繁栄を手にしたアルザス地方の諸侯たちは、多くの教会や修道院の建築に貢献しました。ロマネスクの部屋ではその時代のレリーフや柱頭が展示されています。この時代は、ストラスブールとアルザスにおける、ステンドグラスの最も重要な制作の時代でもあり、すぐ隣の展示室では、美しいステンドグラスの数々を観ることができます。

▲「内陣仕切りの間」。
 

中庭に続く扉を開けると、15世紀の聖職者や皇帝の石像、カテドラルの正面玄関のサンローラン像などが並びます。大聖堂建設の石職人たちの会議室だったルネサンス様式のこの部屋では、隣の「内陣仕切りの間」とともに、数多くの彫像が展示されています。大聖堂の建築は、新しい彫刻技術の発展を促し、数々の傑作彫刻を生み出しました。ここでは、そのダイナミックなプロジェクトの全貌を見てとることができるのです。

▲「15世紀の芸術的発展」の展示室。
 

大聖堂の大改築の背景には、15世紀にひとつの頂点を迎えたストラスブールの経済的繁栄がありました。そして、1439年、高さ142メートル、中世キリスト教教会随一の高さを誇る尖塔を備えたゴシック大聖堂が完成したのです。知的・芸術的にも発展を遂げたこの時代の絵画や彫刻は、「15世紀の芸術的発展」と名付けられた21番から26番までの展示室で鑑賞することができます。

▲博物館のふたつの建物をつなぐ中央階段。
© Jean-Yves Fick
  ▲ふたつの建物を結ぶギャラリー。
     

続く16世紀前半、ストラスブールは宗教改革の中心地となるなか、人文主義者たちが活躍する革新の時代を迎えます。かつての「ルーヴル・ノートルダム事業団」の管理責任者たちの会議室では、その時代を知るにふさわしい品々が展示されています。部屋の奥には、この時代を代表する画家ストスコプフ(Stoskopff)*の傑作《グランド・ヴァニテ》(1641)が掛けられています。そして、ストスコプフの素晴らしいタブローとともに、数々のアルザス地方の家具が並び、展示は締めくくられます。

▲ストスコプフ《グランド・ヴァニテ》 1641年   ▲アルザス地方の家具の展示室。
     
ページトップへ
*ストスコプフ(Stoskopff)
1597年、ストラスブール生まれ、ルター派の環境のなかで育つ。人文主義者のダニエル・ソロー(Daniel Soreau)の影響のもと静物画の基礎を学び、フランドルの作風またパリ学派(Ecole parisienne)の影響を受け、数々の静物画の傑作を生み出した画家として知られる。
次のページへ
2009.12

アルザス地方基本情報

  • ライン河とヴォージュ山脈にはさまれたフランスの北東に位置する地方。ローマ時代から交通の要衝として栄えてきた。2007年にTGV東ヨーロッパ線が開業し、パリとストラスブール間は2時間20分で結ばれた。世界遺産に指定された旧市街のほか、アルザスワイン街道を巡る旅も人気が高い。
  • アルザス地方観光局
    http://www.tourism-alsace.com
  • ストラスブール観光局
    http://www.ot-strasbourg.fr/

ルーヴル・ノートルダム博物館

  • 所在地
    3 Pl du Château
  • Tel
    +33(0)3 88 52 50 00
  • URL
    <博物館>
    http://www.musees-strasbourg.org/index.php?page=musee-ond
    <大聖堂>
    http://www.oeuvre-notre-dame.org/index2.htm
  • 開館時間
    <土・日曜日>10 :00-18 :00
    <月・水・木・金曜日>12 :00-18 :00
  • 休館日
    火曜日
  • 入館料
    <常設展>
    一般:5ユーロ
    25名以上のグループ、
    25歳以下の学生:2.5ユーロ
    18歳以下:無料
    <特別展>
    一般:6ユーロ
    25名以上のグループ、
    25歳以下の学生:3ユーロ
    18歳以下:無料

MMFで出会える ルーヴル・ノートルダム博物館


 

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。