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オーヴェル=シュル= オワーズのゴッホを訪ねる

この背景のデザインは、DNPartcomの「アーティストタッチ」を使用して作成しています。

パリから電車で約1時間、ヴェクサン台地を覆いながら東西にのびる町、オーヴェル=シュル=オワーズ(Auvers-sur-Oise)。ポスト印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)は、晩年にこの地で作品制作に励み、37年間の短い生涯をここで閉じました。
ゴッホの作品は現在、東京・六本木で開催中のオルセー美術館展2010「ポスト印象派」で展示中ですが、今月の特集では、ゴッホが生きた当時の面影を残すオーヴェルの町の見どころをご紹介します。また、ゴッホ最後の足取りを、インタラクティブマップで辿ります。

ゴッホ終焉の地、 オーヴェル=シュル=オワーズ

「厳かなほど美しい」ゴッホが愛したパリ近郊の村

▲オワーズ川の右岸に位置する、オーヴェル=シュル=オワーズ
© Institut Van Gogh

 ゴッホがパリ近郊ののどかな村、オーヴェル=シュル=オワーズに到着したのは、1890年5月20日のことでした。アルル(Arles)でのゴーギャン(Paul Gauguin)との共同生活を経て、サン=レミ=ド=プロヴァンス(Saint-Rémy-de-Provence)の精神病院で過ごした後、ピサロ(Camille Pissarro)の紹介で精神科のガシェ(Paul Gachet)医師の住むこのオーヴェルへとゴッホはやって来ました。そして村役場の近くのカフェ「ラヴー亭」(Auberge Ravoux)の屋根裏部屋を借り、ゴッホのオーヴェルでの生活は始まります。

 「オーヴェルは実に美しい。(中略)本当に、厳かなほど美しい。特徴があって絵になる本当の田舎だ」。オーヴェルの風景がゴッホにとって大変魅力あるものに映ったことが、弟テオ(Théodore Van Gogh)に宛てた手紙からもうかがえます。10週間という短い制作期間でゴッホはオーヴェルの穏やかな田舎の風景やオーヴェルに住む人々の姿を、次々にカンバスへと収めました。

▲ゴッホ《自画像》1889年 オルセー美術館 
© RMN (Musée d'Orsay) / Gérard Blot

それら油彩作品の数は70点近くにものぼり、滞在日数から換算すると一日1作品ものペースで作品を仕上げていたことが分かります。しかしながらオーヴェルはそうしたゴッホの精力的な活動の場所であったと同時に、ゴッホが自ら命を絶つという、悲しい事件が起こった土地でもあるのです。オーヴェルに到着して約2ヵ月が経過した7月の27日、ピストルで自身の胸部を撃ち抜いたゴッホは、その2日後に弟のテオに看取られながらラヴー亭の自室で息を引き取りました。画家として人生を歩み始めてからわずか10年、37歳という若さでした。

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ゴッホの描いた風景が息づくオーヴェルの町

▲セザンヌ《首吊りの家》1873年 
オルセー美術館 
© RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski

 オーヴェルはゴッホのみならず、ドービーニー(Charles-François Daubigny)、コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)、セザンヌ(Paul Cézanne)、ピサロなど、著名な画家が静かな田舎の風景を求めて作品制作の場に選んだ土地として知られています。コローの描いた装飾の残るドービーニーのアトリエや、オルセー美術館所蔵のセザンヌの有名な作品《首吊りの家》のモデルとなった家など、19世紀に活躍した画家たちゆかりの場所が数多く残っています。そして現在もなお、オーヴェルにはアーティストのアトリエが多数存在し、芸術家の集う町としてその評判を保ち続けています。
 しかし、そうした芸術との深い繋がりを持つオーヴェルの名を世界中に知らしめたのは、やはりゴッホの晩年の滞在が最も大きく影響していると言えるでしょう。オルセー美術館所蔵の《オーヴェルの教会》は、ゴッホの代表作のひとつ。当時の佇まいをそのままにする教会をひと目見ようと、オーヴェルを訪れる観光客の姿は絶えることがありません。

▲ゴッホ《オーヴェルの教会》1890年
オルセー美術館 
© RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski

 また、ゴッホとその弟テオの眠るオーヴェルの墓地は、ゴッホを愛する世界中の人々からの花や酒類などが供えられており、ゴッホファンの“巡礼の地”として親しまれています。
 ゴッホの描いた風景は今もオーヴェルに生き続けており、地平線を覆うように広がる麦畑に佇めば、ゴッホの絵の中へと入り込んだ錯覚すら抱くかもしれません。そして、ゴッホがオーヴェルへ来るきっかけとなった「ガシェ医師の家」(Maison du Docteur Gachet)、ゴッホが最期を過ごしたラヴー亭といったゴッホゆかりの場所が、往時の面影のまま、私たちを迎え入れてくれるのです。

▲蔦に覆われたゴッホとその弟テオの墓
© Institut Van Gogh
▲ゴッホが描いたオーヴェルの麦畑
© Institut Van Gogh
Update :2010.6.1
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オーヴェル=シュル= オワーズへのアクセス

  • パリGare du Nord駅またはSaint-Lazare駅からPontoise行きの電車に乗り、Pontoise駅で下車、続いてAuvers-sur-Oise方面に乗り換えGare d'Auvers駅下車。
  • パリGare du Nord 駅からValmondois行きの電車に乗り、Valmondois駅で下車、続いてAuvers-sur-Oise行きに乗り換え。
  • 2010年4月3日から11月1日まで、週末・祝日に限りパリ北駅(Gare du Nord)とオーヴェル=シュル=オワーズ駅(Auvers-sur-Oise)間の直通電車有り。

オーヴェル=シュル= オワーズ観光案内所

  • 所在地
    Manoir des Colombières
    rue de la Sansonne
    95430 Auvers-sur-Oise
  • Tel
    +33(0)1 30 36 10 06
  • Fax
    +33(0)1 34 48 08 47
  • E-mail
    下記URLよりメール送信が可能
  • 開館時間
    <4月1日〜10月31日>
    9:30-12:30、14:00-18:00
    <11月1日〜3月31日>
    9:30-12:30、14:00-17:00  
    *但し、週末・祝日は17 :30まで
  • 休館日
    月曜日

ゴッホの家

  • 所在地
    Place de la Mairie
    BP 40001 F95430 Auvers-sur-Oise
  • Tel
    +33(0)1 30 36 60 60
  • Fax
    +33(0)1 30 36 60 61
  • E-mail
    info@vangoghfrance.com
  • URL
    http://www.maisondevangogh.fr/
  • 開館時間
    <3月3日〜10月31日>
    10 :00-18 :00
  • 休館日
    月曜・火曜日
    *11月1日〜3月2日は休館
  • 入館料
    一般:6ユーロ
    12歳〜17歳:4ユーロ
    12歳未満:無料

オーヴェル=シュル= オワーズ城

  • 所在地
    chateau d'Auvers de Léry
    95430 Auvers-sur-Oise
  • Tel
    33(0)1 34 48 48 48
  • E-mail
    info@chateau-auvers.fr
  • URL
    www.chateau-auvers.fr
  • 開館時間
    <4月1日〜9月30日>
    10 :30-18 :00
    <10月1日〜3月31日>
    10 :30-16 :30
  • 休館日
    月曜日
  • 入館料
    一般:12ユーロ
    6歳〜18歳:7.9ユーロ
    6歳未満:無料

MMFで出会える オーヴェルのゴッホ

  • インフォメーション・センターでは、ラヴー亭やオーヴェル城など、今回ご紹介したゴッホゆかりの地のパンフレットをご用意しているほか、関連図書も閲覧いただけます。
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