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アルノー・ブルジョン氏への インタビュー
「モビリエ・ナショナル」──この名称を耳にしたことがなくとも、
ゴブランやボーヴェのタピスリーやサヴォヌリーの絨毯ならご存知の方も多いはず。
古くからの伝統にのっとり、今も制作を続けているこうした工房を統括しているのが、
モビリエ・ナショナルです。国有の家具の管理・製作をしているこの機関は、
その優れたコレクションでも知られていますが、
今まではそれを公開するための決まったスペースがありませんでした。

そして、2007年5月12日(土)、パリにオープンしたのが「ゴブラン織りギャラリー」。モビリエ・ナショナルの貴重なコレクションを、企画展などで公開するための美術館です。MMFでは、モビリエ・ナショナルのコレクション管理部門長を務めるアルノー・ブルジョン氏に、開催中の展覧会の見どころと、モビリエ・ナショナルの役割についてお伺いしました。
©Mobilier national-photo André Morain
 
▲アルノー・ブルジョン氏。
©Asuka Abe
MMF:モビリエ・ナショナル(フランス国有動産管理局)の起源は何ですか?
アルノー・ブルジョン氏(以下A.B.):モビリエ・ナショナルは、1667年に当時の宰相コルベールとルイ14世が創設した二つの組織を統合したものです。ひとつはガルド・ムーブル、つまり家具をストックしておくところ、もうひとつはテキスタイルと家具の製作所です。1937年にこの二つの組織を統合し、モビリエ・ナショナルが生まれました。
     
MMF:モビリエ・ナショナルの仕事は、コレクションの管理、修復、新しい家具の製作、未来の職人の養成の四つと考えてよろしいですか?
A.B.:モビリエ・ナショナルは、家具を管理・製作していますが、その使命はひとつ。エリゼ宮(大統領官邸)などの官邸や世界の220のフランス大使館に家具を供給することなのです。この使命をめぐって、家具の保存や修復、学術書の出版、コレクションの管理、そして新たな家具の製作といった仕事があります。タピスリーや絨毯はゴブラン、ボーヴェ、サヴォヌリーの三つの製作所で、家具は研究製作工房(ARC)で製作しています。4世紀にわたって、モビリエ・ナショナルの毎日は「製作、修復、家具の供給」という仕事で成り立っているのです。
 
MMF:官邸のために作られるのですから、一般の人はこれまでモビリエ・ナショナルが製作した家具を見る機会はあまりなかったのですね。
A.B.:2007年5月12日、1972年以来閉まっていたゴブランのギャラリーがリニューアル・オープンしました。ムフタール通りやパンテオンにほど近い、ゴブラン通りの42番地にある小さなギャラリーです。一般の方々にモビリエ・ナショナルの仕事を見ていただけるので、これはとても重要なことです。
ギャラリーでは、毎年、新しい作品や修復した作品、貴重なコレクションを公開する予定です。例えば、9月30日までは「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」という展覧会を開催しています。展覧会は三部構成で、1階には過去10年間に製作したテキスタイル、タピスリー、絨毯、家具を展示しています。これらは、展覧会が終わった後、省庁や首相官邸、大統領官邸、下院、上院で使用される予定です。
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から 《アルテミスのタピスリー》1607-1610年
Collection du Mobilier national
© Philippe Sébert
 
▲《アルテミスのタピスリー》の細部。
© Mobilier national -photo Sophie Zénon
▲修復される《アルテミスのタピスリー》。
© Mobilier national -photo Sophie Zénon
2階には、《アルテミスのタピスリー》を展示しました。ここサン=マルセル界隈の製作所(ゴブラン製作所の前身)で作られた王家のタピスリーのオリジナルです。1607年に王のために作られ、15枚から構成されています。
ルイ14世がそのうちの8枚をイギリスにあげてしまったのですが、ナテクシス銀行のメセナのおかげで買い戻し、当時と同じ状態に再現することができました。17世紀パリで作られた最も美しいタピスリーです。展覧会の最後の部分を構成するのは、17世紀から18世紀に作られた44点の美術品です。これらに共通するのは、すべて権力者(ルイ16世、マリー=アントワネット、ナポレオン、ルイ18世、ナポレオン3世、皇后ウージェニーなど)の持ち物だったということです。それぞれが王宮、皇帝の宮殿、あるいは共和国の官邸に飾られていました。
 
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から
チュイルリー宮殿、ルイ18 世の玉座の間の装飾
1822年
Collection du Mobilier national
© Philippe Sébert
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から
チュイルリー宮殿、ルイ18世の玉座の間のつい立て
1820-1822年
Collection du Mobilier national
© Philippe Sébert
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から
プロイセン王フリードリヒ2世を記念して作られた振り子時計
Collection du Mobilier national
© Philippe Sébert
 
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モビリエ・ナショナル
所在地
 
42 avenue des Gobelins -75013 Paris
Tel
 
33(0)1-44-08-52-00
入館料
 
一般:6ユーロ
割引料金:4ユーロ
※展覧会会期中のみ開館。
アクセス
 
メトロ:7号線ル・ゴブラン
(Les Gobelins)駅
バス:27, 27, 47, 57, 67, 83, 91番線
開催中の展覧会
 
「ゴブラン織り-1607年から2007年:
創造の四世紀」
会期
2007.5.12〜2007.9.30
休館日
月曜日
開館時間
12:30-18:30
ゴブラン、ボーヴェ、 サヴォヌリーの製作所(パリ)
所在地
 
42 avenue des Gobelins - 75013 Paris
Tel
 
33(0)1-44-54-19-33
見学(要予約)
 
火曜・水曜・木曜日の以下の時間帯
個人:14:00〜/15:00〜
団体(20名まで):14:20〜/15:20〜
見学料
 
10ユーロ
サヴォヌリーの国立工房(ロデヴ)
所在地
 
48 avenue du Général de Gaulle - 34700 Lodève
Tel
 
33(0)4-67-96-40-40
見学(要予約/20名まで)
 
火曜・水曜・木曜日の午後
見学料
 
3.2ユーロ
ボーヴェの製作所(ボーヴェ)
所在地
 
24 rue Henri Brispot - 60000 Beauvais
Tel
 
33(0)4-67-96-40-40
見学(要予約/ボーヴェ観光局を通じて団体のみ受付/20名まで)
 
火曜・水曜・木曜日の午後
見学料
 
3.2ユーロ
ボーヴェ・タピスリー・ギャラリー
所在地
 
22 rue Saint-Pierre - 60000 Beauvais
Tel
 
33(0)3-44-15-39-10
休館日
 
月曜日
開館時間
 
4/1〜9/30:
9:30-12:30,14:00-18:00
10/1〜3/31:
10:00-12:30,14:00-17:00
MMFで出会えるモビリエ・ナショナル
MMFインフォメーションセンターでは図録や展覧会カタログなど、モビリエ・ナショナルに関する書籍を閲覧いただけます。
 
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