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「シュルレアリスムとオブジェ」展(ポンピドー・センター)カタログ
『シュルレアリストの
オブジェ辞典』
Dictionnaire de l’objet Surréaliste

オブジェ(物体)に潜む自由な世界

 わたしたちは意味がないと思われることや、必然性がないものが組み合わさった状態を「シュール」などとよく言います。この語源は、1920年代から興った芸術運動「シュルレアリスム」に由来します。日本語に訳すと「超現実主義」。「現実を乗り越えたもの」とでも言えば、分かりやすいかもしれません。
 シュルレアリスムが世界的な芸術活動として頂点を迎えたのは、いまからちょうど80年前の1938年、パリで開かれた「シュルレアリスム国際展」でした。その主催者は、1924年に『シュルレアリスム宣言』を刊行し、この運動の生みの親ともいえるフランスの詩人、アンドレ・ブルトンと、同じフランスの詩人、ポール・エリュアール。ふたりは、「シュルレアリスム国際展」のカタログの代わりに1冊の本を編集します。それが『シュルレアリスム簡約辞典』でした。その中の‘objet’の項目では、フランスの画家、マルセル・デュシャンの「レディーメイド」を「最初のシュルレアリスムのオブジェ」として定義しています。レディーメイドとは、もともとは既成品を表す言葉ですが、デュシャンは芸術とは一見なんの関係もない既成の自転車の車輪や、瓶乾燥機、便器などをそのまま展覧会に出品することで、芸術の持っている権威主義に真向から反旗をひるがえしたのです。そんなデュシャンの“革命”とともに、もともとは単なる「物」や「対象」であった「オブジェ」は、既存価値の破壊や無意味性を追求するシュルレアリストにとって、創作の源泉となっていきました。
 2013年から2014年にかけて、パリのポンピドー・センターで開催された「シュルレアリスムとオブジェ」展に際して刊行された本書は、かつてブルトンとエリュアールが編集した『シュルレアリスム簡約辞典』へのオマージュであるかのように、辞典の体裁をとっています。デュシャンやブルトンをはじめ、ピカソやミロ、ダリやマグリットなど、シュルレアリスム運動に参加したアーティストやその思想、もちろんシュルレアリスムの名高い作品やポスター、話題となった展覧会まで、シュルレアリスム運動に関連する事柄を豊富な図版とともにアルファベット順に掲載し、解説しています。
 シュルレアリストたちが、物体に備わっている意味や目的、本来の機能を奪うことで「物」としての存在を強調し、人々の深層心理に働きかけると考えたオブジェの観念。ページをめくるたびに、常識や日常に縛られたわたしたちの凝り固まった頭を柔らかにしてくれる一冊です。

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Update : 2018.7.9

『シュルレアリストのオブジェ辞典』
Dictionnaire de l’objet Surréaliste
24×19cm/331ページ
仏語/2013年
著者:ディディエ・オッタンジェ
出版社:Centre Pompidou/Gallimard
本体記載価格:39.90ユーロ
※この情報は2018年7月更新時のものです。

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