このページでは、現代美術をはじめ、楽器やテキスタイルなどの個性的なコレクションを有する4部門をご紹介します。
1971年に設立されたボストン美術館の現代美術部門では、おもに1955年以降に制作された作品に焦点を当てています。ひとつの部門で美術、映像、著作、音楽とあらゆる形式の現代アートをとりまとめており、版画や写真、紙作品、彫刻、インスタレーション、装飾芸術、工芸、デザインをはじめ、ビデオやLEDといったニューメディアによる作品も広く収蔵しています。現在までに1,250以上の作品が収蔵されているほか、版画や素描、写真などで1955年以降に制作された1,000を超える作品が、「アメリカ美術」や「アジア・オセアニア・アフリカ美術」といった館内の他部門に収蔵・展示されています。2011年9月にオープンした、7つのギャラリーからなる「リンド・ファミリー・ウィング」は、1981年にI・M・ペイによって設計された建物を完全にリノベーションした現代美術のための空間。200を超える多彩な作品が、この建物全体を使って展示されています。コレクションのハイライトは、国際的に知られた以下のアーティストの作品です。エル・アナツイ(1941-)、リンダ・ベングリス(1941-)、マーク・ブラッドフォード(1961-)、ケリス・ウィン・エヴァンス(1958-)、モナ・ハトゥム(1952-)、ジェニー・ホルツァー(1950-)、エヴァ・ヒルド(1966-)、マシュー・デイ・ジャクソン(1974-)、アレックス・カッツ(1927-)、エルズワース・ケリー(1923-)、クリスチャン・マークレー(1955-)、ジョサイア・マッケルヘニー(1966-)、ジグマー・ポルケ(1941-)、マーティン・プーイヤー(1941-)、ドリス・サルセド(1958-)、カラ・ウォーカー(1969-)、アンディ・ウォーホル(1928-1987)、フレッド・ウィルソン(1954-)、ベティ・ウッドマン(1930-)。
*1:105 x 140 inches (266.7 x 355.6 cm)
Museum of Fine Arts, Boston
Towles Fund for Contemporary Art, Robert L. Beal, Enid L. Beal and Bruce A. Beal Acquisition Fund, Henry and Lois Foster Contemporary Purchase Fund, Frank B. Bemis Fund, and funds donated by the Vance Wall Foundation
2010.586
Courtesy of the artist and Jack Shainman Gallery, NY
Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
楽器類がボストン美術館のコレクションに入ったのは、1917年のことです。初期の鍵盤楽器、笛、ラットル(振って音を出す楽器)、さまざまな種類のギターといった珍しい楽器が揃い、中には、ヨーロッパ・アジア・アフリカ・中東地域の古代文明から20世紀に至るまでの逸品も含まれています。近年の収集品としてはほかに、歴史的に貴重な鍵盤楽器がいくつかと、プレ・コロンビア時代の笛とオカリナの大規模なコレクション、1840年製の日本の雅楽隊の楽器一式、タイおよびビルマのすばらしい楽器コレクションなどがあります。また、この部門では、アメリカ、とりわけニュー・イングランド地方でつくられた楽器の収集にも力を入れています。
*2:Length 38.5 cm, height 36.4 cm, depth 4.5 cm (Length 15 3/16 in., height 14 5/16 in., depth 1 3/4 in.) Museum of Fine Arts, Boston Leslie Lindsey Mason Collection 17.2098
© Museum of Fine Arts, Boston
この部門のコレクションは、作家、時代区分、媒体のいずれにおいても、極めて幅広い範囲を網羅したもの。
近代の版画と写真コレクションとして名高い「レイン・コレクション」を含む、15世紀中頃から現在までの版画・素描・水彩・写真・アメリカおよびヨーロッパのポスターなどが揃います。
作家としては、デューラー、レンブラント、ゴヤ、ピカソ、ムンク、コルヴィッツをはじめ、ドイツ表現主義の作家やピサロ、カサット、ドガといったフランス印象派の作家に重点が置かれています。また、国内で最初期に形成された写真コレクションも所蔵していますが、その始まりは、1924年にアルフレッド・スティーグリッツ(1864-1946)から彼の写真27点の寄贈を受けたことでした。その後1967年には写真の購入計画が始まり、今では、クラレンス・ホワイト(1871-1925)、フレデリック・エヴァンス(1853-1943)、ジョージア・オキーフ、エドワード・ウェストン(1886-1958)、ユーサフ・カーシュ(1908-2002)らの作品を含む、1840年代から現在までの写真の歴史を網羅したコレクションとなっています。1997年、ボストン美術館ではこうした紙作品のコレクションの一般公開を進めるため、「モース・スタディ・ルーム」を、2008年には、写真のための空間「ハーブ・リッツ・ギャラリー」も開館させました。さらに、2012年には、チャールズ・シーラー(1883-1965)やエドワード・ウェストン(1886-1958)、アンセル・アダムス(1902-1984)らの作品を含む有名なレーン・コレクションから6,000点もの写真を収蔵することになりました。
*3:19.0 x 24.2 cm (7 1/2 x 9 1/2 in.) Museum of Fine Arts, Boston Sophie M. Friedman Fund
1983.169
© Museum of Fine Arts, Boston
ボストン美術館は、アメリカ国内の美術館としては初めて、独立したテキスタイル部門を設立しました。それは、1930年のことでした。コレクションは、16世紀から現在までの世界中の衣装・装飾品・刺繍・靴・扇・キルトおよびファッション関連書籍を網羅しています。
1世紀から20世紀初頭までの稀覯本から現代ファッションの出版物までが揃うライブラリーは、この分野における国内最大規模の蔵書を誇り、国際的な研究資源となっています。
近年では、ファッション・デザイナーのアーノルド・スカージ(1930-)やファッション・イラストレーターのケニス・ポール・ブロック(1924-2009)の資料を購入するなどして、オートクチュールからレディ・メイドに至るまでの20世紀ファッションのコレクションを充実させることにも力を注いでいます。さらに2006年、米国の美術館として初めて宝石専門の学芸部門を創設し、2011年、美術館内に設立されるものとしては初めての宝石専用ギャラリー「リタ・J & スタンリー・H・カプラン・ファミリー財団ギャラリー」を開館させました。また2012年9月には、古代地中海の宝石・宝飾品を展示するためのギャラリーがオープンしました。
*4:143.5 x 139.7 cm (56 1/2 x 55 in.)
Museum of Fine Arts, Boston
William Sturgis Bigelow Collection and Julia Bradford Huntington James Fund
15.1155
© Museum of Fine Arts, Boston
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