Dossier special - 海外の特集

  • 1.第2回のテーマは「水」 
  • 2.「港におけるピサロ〜ルーアン、 ディエップ、ル・アーヴルにて」展:1
  • 3.「港におけるピサロ〜ルーアン、 ディエップ、ル・アーヴルにて」展:2

アンドレ・マルロー美術館「港におけるピサロ〜ルーアン、ディエップ、ル・アーヴルにて」展

ピサロ展  ル・アーヴルにて

▲カミーユ・ピサロ《水先案内船の入り江と東の防波堤、ル・アーヴル、午後、晴天》1903年
アンドレ・マルロー美術館所蔵 
©Le Havre, MuMa / photo Florian Kleinefenn

 ルーアン、ディエップに続く展示は、アンドレ・マルロー美術館のあるル・アーヴルで描かれた作品の数々です。ノルマンディの海沿いの都市ル・アーヴルは、印象派の呼称が生まれるきっかけとなったモネの《印象、日の出》が描かれた地としても有名です。現在マルセイユに次ぐフランス第2の港湾は、19世紀に既に多くの船舶や人々が行き交う産業の街として繁栄していました。知人のコレクターに勧められ、晩年の1903年にル・アーヴルにやってきたピサロは、蒸気船が絶え間なく往来するダイナミックな港の風景を精力的に描きます。

▲カミーユ・ピサロ《ル・アーヴル港入り口と西の防波堤、晴天、朝》1903年 
テネシー州メンフィス ディクソン・ギャラリー・アンド・ガーデン所蔵
©Collection of the Dixon Gallery and Gardens, museum purchase

目の病気を抱えていたことから、ルーアン、ディエップと同様にホテルの部屋から窓の外を眺めての制作でした。彼の多くの作品が高い場所から見下ろすアングルで描かれているのはこのためです。
 ピサロはル・アーヴルの港で拡張工事が行われている様子を、飽くことなくカンヴァスに収めました。港の工事の様子も、ピサロにとっては生き生きとした都市生活を感じさせる格好のモチーフだったのです。変わりゆく港の様子を描きながら、ピサロは自身の絵が当時発達した写真技術と同じように、ル・アーヴルの歴史の記録となることを楽しんでいたのかもしれません。
 ピサロを鑑賞し終えた後に続くのは、ピサロの死後間もなくして起こった新しい美術の流派フォーヴィスムに焦点を当てた展示です。アンドレ・マルロー美術館に最近収蔵されたばかりのデュフィ(Raoul Dufy/1877-1953)の作品を筆頭に、マルケ(Albert Marquet/1875-1947)やフリエス(Othon Friesz/1879-1949)など、ル・アーヴルの港を描いたフォーヴィスムの画家の作品を紹介しています。新たな美のムーブメントの中に、港を俯瞰するアングルなど、ピサロの影響を垣間見ることができる興味深い展示です。

▲展覧会終盤に飾られた当時のディエップ港の写真
▲フォーヴィスムの展示風景
▲アンドレ・マルロー美術館のアネット・オディケ館長

アネット・オディケ(Annette Haudiquet)館長からのメッセージ

日本の皆さんにこの展覧会「港におけるピサロ〜ルーアン、ディエップ、ル・アーヴルにて」を鑑賞しに来ていただけるのを心より楽しみにしています。アンドレ・マルロー美術館は海に面したとてもモダンな建築が特徴で、一流の印象派コレクションを所蔵しています。わたしたちの展覧会、さらに素晴らしい収蔵コレクションを見に、ぜひル・アーヴルにいらしてください。

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Update:2013.7.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)ページトップへ

ノルマンディ印象派フェスティバル2013 Festival Normandie Impressionniste2013

会期
2013年4月27日(土)〜
9月29日(日)
会場
ノルマンディ各地
URL
http://www.normandie-impressionniste.fr/

「港におけるピサロ〜ルーアン、ディエップ、ル・アーヴルにて」展

会期
2013年4月27日(土)〜
9月29日(日)
会場
アンドレ・マルロー美術館
所在地
2 Boulevard Clemenceau 76 600 le Havre
Tel
+33 (0)2 35 19 62 62
URL
http://www.muma-lehavre.fr
開館時間
11:00-18:00
土曜日・日曜日:11:00-19:00
*7月11日、8月22日、9月19日は21:00まで開館
休館日
火曜日、7月14日
観覧料
一般:9ユーロ
割引:6ユーロ
アクセス
パリ、St Lazare駅からTGVで約2時間、Le Havre駅。駅前からLa plage方面のトラムに乗り、Hôtel de Ville駅下車、4番のバスに乗り換えmusée Malrauxで下車
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