Dossier special - 海外の特集

  • 1.ケ・ブランリ美術館で開催される「非西洋」をコンセプトとした写真展
  • 2.2013年のテーマは「私を見て!」独創的なポートレートの数々
  • 2.フォトケ2013で展示された新鋭の写真家のシリーズ作品を紹介!

ケ・ブランリ美術館で開催される一大写真展 フォトケ2013(PHQ4)Photoquai 2013

11月のパリは写真月間。今年も街中で写真に関するイベントが開催されました。その中でもひときわ多くの人が楽しみにしていたのが、パリの民族学専門のミュゼ、ケ・ブランリ美術館が主催する写真展「フォトケ」で、第4回目が今年の9月17日から11月17日にかけて行われました。「ケ」(quai)とはフランス語で河川通りを意味する言葉。ケ・ブランリ美術館の正面を流れるセーヌ河沿いの会場で、2年おきに開催される入場無料の現代写真の展覧会です。今月の特集では、このフォトケの模様をレポートします。

ケ・ブランリ美術館で開催される「非西洋」をコンセプトとした写真展

 フォトケはケ・ブランリ美術館が開館した翌年の2007年から始まった写真展です。2年おきに行われるビエンナーレとして開催され、2013年は第4回目に当たります。ケ・ブランリ美術館の正面に流れるセーヌ河沿いの遊歩道に入場無料の屋外展示が設営され、昼夜問わず現代写真を気軽に鑑賞することができます。ケ・ブランリ美術館の庭園でも一部の展示が行われ、こちらも美術館開館時は入場無料で開放されます。また複数のギャラリーや美術館ともコラボレーションを行い、同時期にフォトケの一環である写真展がパリ市内の各所で行われました。

▲ケ・ブランリ美術館庭園内のフォトケの展示
▲2013年のフォトケのポスター
©musée du quai Branly
©musée du quai Branly,
Photoquai 2013/Avec le soutien de Nexans
▲ケ・ブランリ美術館内ではフォトケの一環としてNocturnes de Colombieというコロンビアの現代写真家4人を取り上げる写真展も開催中(2014年2月2日まで)
©musée du quai Branly

 第1回目より変わることのないフォトケの基本趣旨は、フランスでほぼ無名である「西洋以外」の若手の写真家の作品を取り上げること。アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、オセアニアなど、非西洋の民族学の研究機関であり、それらの地域の膨大なコレクションを有するケ・ブランリ美術館ならではのコンセプトです。また通常は資料として扱われる民族学の写真を、芸術作品として見直すという観点もケ・ブランリ美術館がフォトケを主催するきっかけとなりました。
 初回の2007年から2013年までの4回にわたるフォトケの開催で紹介された写真家は200人以上に上ります。毎回約30の国籍の異なる写真家の作品が集められ、展示数は各回300点から400点を数えます。入場無料の展覧会としては異例のボリュームで、2011年開催時には44万人近い観客を集めました。展覧会の企画進行は、各回に任命されたアート・ディレクターの指揮のもと、世界各地の非ヨーロッパのアート委員と連携し行われるのがフォトケの大きな特徴です。

▲ケ・ブランリ美術館前のフォトケの案内

 その土地、地域に詳しい写真の専門家たちによって才能ある写真家が発掘され、その中からさらにフォトケ参加のための写真家の選出が行われます。この効果的なネットワークが、ヨーロッパでほぼ無名の写真家をフランスの芸術ファンと引き合わせるきっかけを作り出しています。

次ページでは、フォトケ2013のテーマと
その展示について詳しくご紹介します。>>

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Update : 2013.12.1 文・写真 : 増田葉子(Yoko Masuda)ページトップへ

テート・モダン Tate Modern

ケ・ブランリ美術館

所在地
37, quai Branly - portail Debilly 75007 Paris
URL
http://www.quaibranly.fr/
開館時間
火曜日、水曜日、日曜日:
11:00-19:00
木曜日、金曜日、土曜日:
11:00-21:00
休館日
月曜日
入館料
常設展示:8.5ユーロ
企画展示:7ユーロ
常設展示、企画展示共通チケット:
10ユーロ
アクセス
地下鉄:Alma-Marceau駅、Iéna 駅、
Ecole Militaire駅、Bir Hakeim駅下車
電車:Pont de l'Alma駅、Champ de
Mars - Tour Eiffel駅下車
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