ナンシー派の重要なパトロンであり、アール・ヌーヴォーの収集家であったウジェーヌ・コルバン(Eugène Corbin/1867-1952)の私邸を改装して造られたナンシー派美術館。ナンシー派のあらゆる分野のアーティストの作品をカバーする、ナンシー随一のアール・ヌーヴォーの館です。とりわけエミール・ガレのコレクションが充実しており、ガラス作品に限ってもその数は400点以上に上ります。
ほかにもマジョレルによる木製家具やジャック・グリュベール(Jacques Grüber/1904-1988)のステンドグラスなど、ナンシー派の代表的なアーティストの作品が、邸宅内を優雅に飾っています。また、アール・ヌーヴォーのモニュメントが残る美術館付属の庭園も見逃せません。
スタニスラス広場に面したナンシー美術館は14世紀から現代までの絵画、装飾美術のコレクションを有する18世紀末に創設された歴史の深いミュゼ。現在このナンシー美術館の地下に展示されているのが、ナンシーに今も工場を構えるガラスメーカー、ドーム社のコレクションです。700点以上に上る膨大なコレクションは、1878年の創業当時から現在までのドーム社の製品を網羅しています。
世界で最も優れたそれらドームコレクションのうち、約300点が常設展示されています。ドーム社が飛躍するきっかけともなったアール・ヌーヴォー時代の作品は、色合い、テクニックともにインパクトが強く、その美しさに目を奪われます。
2011年に歴史的建造物に指定されたマジョレル邸は、パリの建築家アンリ・ソヴァージュ(Henri Sauvage)による設計でアール・ヌーヴォーの全盛期の1901年に建てられました。マジョレルが自ら積極的にデザインした内部の木製装飾に加え、グリュベールのステンドグラスやビゴ(Alexandre Bigot)のセラミックなど、アール・ヌーヴォーの各分野のスペシャリストがこの邸宅のためにコラボレーションしています。
2003年にナンシー市の管理下となって以来、現在も修復中のマジョレル邸では、マジョレルのオリジナル家具を収集し当時の様子を可能な限り忠実に再現するプロジェクトが進行中です。
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Update:2014.3.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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