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ユゼス城―デュシェ(公爵領)マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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中世の城塞でもあるこの城は、町の中心地にあって、その量感溢れる外見で見るものを圧倒します。12世紀当時の領主の名をとって、「ベルモンド塔」と呼ばれる長方形の大きな塔が城を見下ろしています。入口では、城の扉を囲むふたつの柱に注目なさってください。1743年に再建されたこの柱は、おそらく古代ローマの神殿に由来するものでしょう。正面前庭に入ったわたくしは、さまざまな時代に造られたこの城が、素晴らしい統一感を生み出していることに感動を禁じえませんでした。このシャトーそのものがフランス建築史のレジメとなっているのです。

「子爵領」と呼ばれる14世紀に建てられた六角形の塔のある正面の建物のファサードは18世紀に改築され、列柱のあるバルコニーは19世紀に造られました。右手の素晴らしいルネサンス様式のファサード(1550年頃)は、チュイルリー宮殿の設計者フィリベール・デロルム(1510-1570)の手によるもので、ドーリア式、イオニア式、コリント式という三つの建築様式を重ねた最初の例のひとつとされています。軍事的戦略よりも芸術により関心のあった当時の公爵の意向を表しているのです。このファサードの扉の上には、公爵の紋章と「Ferro non auro(金によってではなく、鉄によって)」の銘が刻まれています。この建物の隣には、19世紀に改築された15世紀の礼拝堂があります。礼拝堂の屋根はユゼス家の紋章を再現したつやのある瓦で覆われています。

さて、それでは中庭を横切ってベルモンド塔へと参りましょう。1階の部屋には、プロヴァンス風の素晴らしいキリスト生誕群像が飾られています。小さなサントン人形からなるこの群像はキリスト教に典型的なものですが、ここでは皆、プロヴァンス風の衣裳を身につけた姿で、厩でのイエスの誕生とともに南仏の村の生活も物語っているのです。塔の135段の階段にもぜひ、チャレンジなさってみてくださいね。塔の上には、瓦屋根の向こうにユゼスの旧市街や周辺を望む見事な景色が広がっています。

ガイド付き見学は、中世の古い地下室から始まります。ここはもともと倉庫として使われており、後に地元のワインを賞味するための、ワイン貯蔵庫に改造されました。階段を上りながら、オリーブの木が植えられた庭をご覧になってください。ここでは、中世の塔の名残をうかがうことができます。再び正面前庭を通り、16世紀の手すりのある壮麗な階段を上って2階の居室へと参りましょう。こうした階段は当時珍しいものでした。ダイアモンドの先端で装飾を施された丸天井のパネルにはイタリアの影響が感じられます。

Update : 2016.6.1

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