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オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(海軍館)マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。 バックナンバーを読む
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コンコルド広場からは、完璧に左右対称なオテル・ドゥ・ラ・マリーヌの荘厳なネオクラシック様式のファサードを見ることができます。建築家のアンジュ=ジャック・ガブリエルは、ルーヴル美術館の柱廊からインスピレーションを得て、力強いコリント式の円柱が並ぶロッジアを構想しました。このロッジアを取り囲むふたつの棟があり、そのペディメントには彫刻が施されています(ミシェランジュ・スロッツ(1705-1764)作《王家の壮麗さ》とギヨーム2世クストゥ(1716-1777)作《公共の至福》)。1階と中2階はアーケードでつながっています。1階には、アトリエや倉庫、荷車置き場などがありました。建物の内部は、2つの中庭(「正面前庭」と「所長の中庭」)を中心とする構成です。2階の柱廊の背後には、コンコルド広場を見下ろすロッジアと「貴賓室」、そしていくつかの居室があり、他の部屋はサンフロランタン通りに面しています。
それでは、オテル・ドゥ・ラ・マリーヌに入り、「正面前庭」を横切って「所長の中庭」へと参りましょう。ヒュー・ダットンが設計した330uの見事な透明ガラスの屋根は、まるで輝くダイヤモンド。その効果は息を呑むほどで、軽やかな構造体は、空に溶け込んでいくかのようです。

2つの見学コースがありますが、わたくしのおすすめは、所長のアパルトマンに始まる壮麗なサロンを見学するグランドツアー。「所長の階段」を通って2階へ上がったら、まずは1765年にピエール・エリザベート・ド・フォンタニユーのために作られ、1786年にマルク=アントワーヌ・ティエリー・ド・ヴィル=ダヴレイのために改装されたアパルトマンへ。家具調度などの配置は在りし日のまま、装飾も18世紀当時と同じように修復されています。壁紙やカーテンもそのほとんどがオリジナルのものを修復するか、当時と同じように復元されています。当時の目録や、さまざまな機関からの寄託などにより、18世紀の家具や品々を置くことができたのです。

最初の部屋「控えの間」は、クリーム色の壁と、扉の上部の石膏浮き彫りがエレガントで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。緑色の壁紙が美しい通路には、フランソワ・デポルト(1661-1743)とフランチェスコ・カサノヴァ(1727-1803)の絵画が飾られています。

そして、装飾の豊さに驚かされたのは、所長の仕事部屋である「会見の間」。水色を基調とした壁に、花やアラベスクが描かれた絹地のパネルが華やかにはめ込まれているのです。マホガニーとオークを用いた大振りの寄木の床も素晴らしく、ポルトール産の大理石でできた暖炉は、繊細な彫刻が施されたブロンズで装飾されています。そして部屋の中央にある巻き込み式蓋付きの机は、マリー=アントワネットのお気に入りの家具職人であったジャン=アンリ・リーズネル(1734-1806)によるもの。平机の上にはインク壺や印璽や封印などの当時の品々がそのままに置かれています。お次は、18世紀のエスプリが息づくように改装された「所長の寝室」へ。青と白のランパ織の布が張られたアルコーヴにローマ風のベッドが置かれ、箪笥、ティーテーブル、コーナーキャビネットなどにはすべて製作者の刻印が施されています。この部屋に隣接する快適なバスルームは近代的で、彩色され古色をつけられた大きな銅製のバスタブ、18世紀様式の一対の水栓、化粧台、デイベッドが設えられています。

Update : 2022.1.5

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