ルネサンス美術館―エクアン城
フランス文化大臣アンドレ・マルロー(André Malraux)の提唱により、エクアン城に
設立された国立ルネサンス美術館は、昨年、創立30周年を迎えました。
パリから北へ約15km、イル・ド・フランスのなだらかな丘陵地を見下ろす
この優美な城は、フランス・ルネサンスの立役者とも呼ぶべき、アンヌ・ド・
モンモランシー大元帥(connétable Anne de Montmorency)が建造させた居城です。
Vue aérienne du château d'Ecouen © Musée national de la Renaissance © Photo RMN - © René-Gabriel Ojéda
モンモランシー 大元帥と エクアン城 国立ルネサンス 美術館開館まで ルネサンスの アール・ド・ ヴィーヴィル 1階から3階― 展示室を巡る
アンヌ・ド・モンモランシー大元帥
▲《アンヌ・ド・モンモランシーの肖像 》、彩色した蝋、16世紀
© Photo RMN - © Gérard Blot
 フランス・ルネサンスといえば名が挙がるフォンテーヌブロー派 (École de Fontainebleau)。そのフォンテーヌブローにイタリアから芸術家たちを招き、国の美術を発展させたのが時の国王フランソワ1世 (François Ier)です。アンヌ・ド・モンモランシーは王家に仕える名門の出で、幼少期の教育を未来のフランソワ1世と共に受け、フランソワ1世とその息子、アンリ2世 (Henri II)を政治的、軍事的、また文化的な面から支えた人物でした。
彼は文芸庇護者としてもフランスに大いに貢献し、芸術家たちを援助するかたわら、自身の居城のためにも、最高の芸術家や職人をつかいました。王家の居城の建築の責任者でもあったアンヌは、シャンティイー(Chantilly)やエクアンの所有地に、当時の第一級の建築家を呼び、城を建造させます。
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エクアン城
 12世紀にはモンモランシー一族がエクアンに土地を所有していた、という事実が明らかになっていますが、中世の時代に関する明確な資料は知られていません。現在行われている発掘作業から、ともすると、中世の面影が立ち現われる可能性もあるでしょう。城が現在の形にほぼ完成するのは16世紀半ば。アンヌ・ド・モンモランシーが求めたのは、防衛を第一目的として建設された中世の城とはちがい、優美さと合理性を兼ね備えた、新しい時代の居城です。当時は移動宮廷の時代。イタリア建築の影響を濃く受けながらもフランス独自の趣味を取り入れた、フランス・ルネサンス様式のエクアン城は、宮廷を招くことを念頭に置いて設計されており、王の城にもひけをとらない立派なものでした。
 アンヌ・ド・モンモランシーの死後、城は様々な所有者の手を経ますが、フランス革命時にその内部を飾っていた調度品は売却されるか熔解されてしまいます。従って、残念ながら当時の様子をうかがい知ることは難しくなってしまいます。
▲王アンリ2世の寝室(2階)、暖炉の彩色装飾《牛をいけにえにするサウル》、1550年頃。
© Photo RMN - © Gérard Blot
 1807年、皇帝ナポレオン1世(Empereur Napoléon Bonaparte)の命で、レジオン・ドヌール(Légion d'honneur)受勲者の娘たちのための、寄宿学校がエクアン城に設立されます。彼女たちの教育を任されたのは、かの有名なマダム・カンパン(Madame Campan)。かつてのマリー=アントワネット(Marie-Antoinette)王妃の侍女であった人物です。学校がルネサンス美術館設立に際して移転するまでの約150年間、エクアン城は、選ばれた少女たちの養育の場であったのです。
モンモランシー 大元帥と エクアン城 国立ルネサンス 美術館開館まで ルネサンスの アール・ド・ ヴィーヴィル 1階から3階― 展示室を巡る
 
文:中澤理奈(Rina NAKAZAWA)
写真:美術館提供、ガブリエラ・ピンテール(Gabriella Pintér)、中澤理奈
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PARIS MUSEUM PASS 利用可能施設
ルネサンス美術館―エクアン城
URL
 
http://www.musee-renaissance.fr/
所在地
 
Château d'Ecouen 95440 Ecouen
Tel
 
33(0) 1.34.38.38.50
Fax
 
33(0) 1.34.38.38.78
E-mail
 
musee-renaissance
@culture.gouv.fr
開館時間
 
夏期(4月16日〜):9:30-12:45、14:00-17:45
冬期:9:30-12:45、14:00-17:15
休館日
 
火曜日
1月1日、5月1日、12月25日
入館料
 
※2008年1月〜6月30日まで常備展は入館無料。
詳しくはこちら→
一般:4.5ユーロ
割引料金(18歳〜25歳):3ユーロ
団体(20-30名):66ユーロ(要予約:33(0) 1.34.38.38.52)
※18歳未満は無料
※毎月1日は無料
庭園
 
※1月1日と12月25日を除き毎日入園は無料。
夏期(4月15日-9月30日):
8:00-19:00
冬期:8:00-18:00

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