シャルトル、国際ステンドグラス・センター〜中世の輝きに現在の光を当て、未来へ伝える〜
  ©Lina Nakazawa
シャルトル大聖堂 国際ステンド グラス・センター ステンドグラス 技術の継承
ノートルダム大聖堂の膝下で 国際ステンドグラス・センター
 大聖堂の南側から外に出て、右手にシャルトル美術館を見ながら50メートルほど行くと、国際ステンドグラス・センターの門が見えてきます。ここはかつてシャルトル大聖堂に属し、教区民が税金として納める穀物などを収納していた建物でした。3つの棟が連なる建物も、中世の趣をたたえています。
▲大聖堂南ファサードのポーチ。上部は彫刻で隙間なく埋め尽くされている。
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▲国際ステンドグラス・センター入口。
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▲センターで復元したステンドグラスの前に立つ所長のジャン=フランソワ・ラジエール氏。
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 1980年に創立された国際ステンドグラス・センターは、ステンドグラスの保存、修復、教育、技法の普及、という使命のもとに、展覧会や研修など、多岐にわたる活動を行っています。今回は、所長のジャン=フランソワ・ラジエール(Jean-François Lagier)氏にお話を伺いながらセンターを案内していただきました。
 まず入口を入ると、企画展示室があります。ここでは、ある特定のアーティストの作品を紹介することが多く、現在はドイツ出身のウード・ゼンボック(Udo Zembok)の、幻想的な、単色使いの多い作品の数々が展示されています。(開催期間:2008年3月22日〜2009年1月31日)古めかしい天井の梁と現代的な作品が不思議なほど調和しています。展覧会入口の門をくぐると、そこには光が溢れ、まるで別世界に足を踏み入れるかのようです。中にはゼンボックがシャルトル大聖堂にあるラビリンス(迷路)をイメージして制作した大型のインスタレーションも展示されています。

▲ウード・ゼンボック展への入り口。
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▲ウード・ゼンボック(1951-)による作品。
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 ここ1階では、企画展示室のほかに、シャルトル大聖堂のステンドグラスの写真を張りめぐらせた部屋があり、そこでは肉眼では見えにくいステンドグラスに描かれた物語の解説をする試みが行われています。また、定期的に開かれる美術史やステンドグラスに関する講義が行われるのもこの空間です。
 地下に向かい、階段を下りていくと、踊り場にもステンドグラス作品が展示されています。これは、シャルトル大聖堂の素材と同じ採石場から採った石を使い、シャルトル・ブルーのステンドグラスと組み合わせた現代アートで、シャルトルに住むアーティスト、ジル・ガナショー(Gilles Ganachaud)の作品です。
 
▲1階で行なわれる講義の様子。
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▲踊り場に展示されたジル・ガナショー(1946-)の作品。
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 地下一階に到着すると、そこにはゴシック建築の特徴である、ボールトが支えるアーチ型の屋根の、美しい空間が広がっています。中世において、教会の教区民は、「十分の一税」といって教会に収入の十分の一を納める義務を負っており、多くの場合、それは農作物で支払われました。この空間は、シャルトルの大聖堂が徴収した作物を保存しておくための貯蔵庫でした。ここはフランス国内で現存する中世の貯蔵庫のなかで、最も完全なかたちで残されているもののひとつです。
 ここは現在、企画展示室となっており、主に、若い新鋭アーティストの紹介を目的に展示が行われています。現在は世界中から集まったおよそ30 名のアーティストの作品が展示されていますが、そのなかには2人の日本人も含まれています。このスペースは、いわば作品と鑑賞者、作者と注文主、または作者同士の出会いの場として機能しているのです。
 ラジエール氏のお話では、ステンドグラスとはある技法や素材を特定するものではなく、光を当てることによってその光を変化させ、美的な空間を生み出す目的で作られたもののことを指す、ということです。その言葉を証明するかのように、ここに飾られた作品の数々は、ありとあらゆる素材(ガラスに限らず、プラスチックなど)や技法(色ガラス、塗装など)を使った、変化に富む様相を見せてくれています。
 
▲屋根のボールトが美しい地下の展示室。
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▲ステンドグラスの定義について語るラジエール氏。
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シャルトル大聖堂 国際ステンド グラス・センター ステンドグラス 技術の継承
文:中澤理奈(Rina NAKAZAWA)
© Centre international du vitrail以外の写真:中澤理奈
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ルネサンス美術館―エクアン城
▲国際ステンドグラス・センターの外観。
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国際ステンドグラス・センター
所在地
5, rue du Cardinal Pie 28000 Chartres
Tel
33(0) 2 37 21 65 72
Fax
33(0) 2 37 36 15 34
E-mail
contact@centre-vitrail.org
開館時間
月曜〜金曜日:9:30-12:30、13:30-18:00
土曜日:10:00-12:30、14:30-18:00
日曜・祝日:14:30-18:00
入館料
一般:4ユーロ
割引料金:3ユーロ
※14 歳未満は無料
パンフレットをダウンロード
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シャルトル基本情報
フランス北部、<フランスの穀倉>ボース平野の中心に位置する古都で、ウール・エ・ロワール県の県都。古代ローマ以前にはガリア人の聖地、キリスト教化されて以降もマリア信仰の巡礼地として栄えた。世界遺産のノートルダム大聖堂(通称、シャルトル大聖堂)のある旧市街には、今も中世の面影を宿す町並みが残されており、多くの観光客を集めている。毎年春から秋にかけて、大聖堂をはじめ街の各所をライトアップするイベント「光と香水の街シャルトル」が開催されている。2008年は4月11日から9月20日まで。
アクセス
<列車>パリ、モンパルナス
(Montparnasse)駅から急行列車で約50分、シャルトル(Chartres)駅下車。
シャルトル観光案内所
http://www.chartres-tourisme.com

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