

美術館の建物はフィリップ・ロベール (Philippe Robert)、レイシェン・エ・ロベール (Reichen et Robert)の事務所によって設計され、1992年に完成しました。建物はセーヌ川流域の典型的な地形を尊重しながら設計され、自然の中に溶け込むようにして存在しています。建物は丘の斜面を利用して山腹に埋まる形で建てられているため、高さのある外壁は見受けられず、ジヴェルニーの景観を壊すことのない造りになっています。また草原、木々、果樹園、花壇、垣根などの緑に囲まれており、自然と一体化したような佇まいが印象的です。こうした美術館の環境は、印象派の画家にとって必要不可欠なモチーフである「自然」に最大限の敬意を払いながら生み出されました。

庭園はパリのパレ・ロワイヤル (Palais Royal)の庭園の再整備を手掛けたことでも知られる造園技師、マーク・ラドキン (Mark Rudkin)によって設計されました。垣根によって細かく仕切られ、一たびに全体を見渡すことのできない造りのこの庭園は、散策をしながら順々に草花を楽しむことができるように設計されているのが特徴です。垣根が作り出す四角い空間の中には花壇が左右対称に据えられ、そこにはジヴェルニーの自然の豊かさを強調するように色とりどりの花が咲き乱れています。
美術館内に入ると、広々とした明るいホールに迎え入れられます。左手には展示室、右手にはテラの名が冠されたレストランがあり、レストランには庭園を眺めることのできる大きなテラスが設置されています。そして建物の地下には約200人を収容することのできる大講堂があり、美術館の開館時期に関わらず、個別に利用できる施設として活用されています。
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展示室は3つの広々としたスペースからなっています。丘の傾斜に応じて床部分がそれぞれ異なる高さを持っているため、広々とした階段のような造りが特徴的です。これらの展示室の設計の際、作品展示のために自然光を取り入れることが重要なコンセプトとして掲げられました。

展示室の壁と軽く傾斜している天井の間に取り付けられた窓より自然光が入り込むようになっていて、季節によって変化するジヴェルニーの繊細な光が美術館の展示に利用されています。一日の間に変化する自然光の特徴にも対応しており、自然光の量に応じて人工の光の度合いを自動的にコントロールできるシステムが取り入れられています。自然との調和を意識した建築のコンセプトは外観のみならず、こうして美術館内部にも適用されているのです。

著者プロフィール
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。
- 所在地
99 rue Claude Monet 27620 Giverny - Tel
+33 (0) 2 32 51 94 65 - Fax
+33 (0) 2 32 51 94 67 - URL
www.mdig.fr - 開館時間
10 :00 -18 :00 - 閉館時間
11月1日〜4月30日 - 休館日
<5月1日〜7月14日>:休館日なし
<7月15日〜10月31日>:月曜日 - 入館料
一般:5 .5ユーロ
割引:3 /4ユーロ
*第一日曜日は無料。 - アクセス
パリ・サン・ラザール(Paris St-Lazard)駅より電車で45分、ヴェルノン (Vernon) 駅下車。ヴェルノン駅よりジヴェルニー(Giverny)行きのバスで20分。
- MMFwebサイトの連載「ミュゼあれこれ」では、「ジヴェルニー、モネの庭」を特集しています。記事を読む≫

- MMFインフォメーション・センターでは、「ジヴェルニー・モネの庭園、風景の創作」展の図録をご覧いただけるほか、ジヴェルニー印象派美術館のパンフレットをご用意しております。

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