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先日、わたくしたちはブルターニュ地方のトロアネにすばらしい古城を持つ友人を訪ねました。フィニステール県のトロアネへは、カンペールから内陸に向って30kmほど。ブリエックという小さな町の近くに位置しています。ここでの滞在を通じて、わたくしはブルターニュ内陸部に受け継がれてきた昔ながらの伝統に触れることができました。ひとくちにブルターニュといえども、観光化された海岸沿いと内陸部では、ずいぶんと趣きがことなるものですね。

友人が所有するトロアネ城は18世紀、花崗岩を用いて建てられました(花崗岩は一見地味な印象がありますが、老朽化しにくいという利点があるそうです)。古城を囲むように広がる25ヘクタールもの美しい庭園は、かの有名な造園家ビューラー兄弟が手がけたものです。

▲トロアネ城。
©A. de Montalembert
1872年に完成したこの庭園には4ヘクタールの池がふたつと菜園があり、わたくしたちは花園で採れたての有機野菜を堪能しました!その手間暇はたいへんなものに違いありませんが、自らの土地で収穫された恵みをいただく歓びには代えがたいことでしょう。
英国皇太后はこれまでに幾度かブルターニュ地方をご訪問されていますが、1995年にはアフタヌーンティーにこの地に立ち寄られてクレープをお召し上がりになり、噂に聞くこのトロアネ城の庭園を訪ねられたそうです。
     
▲トロアネ城。
©A.de Montalembert
ブルターニュの内陸部では、教会や中世以来のキリスト磔刑像「カルヴェール」、そして花崗岩でできた古い家々というこの地方ならではの光景を見ることができます。ブルターニュの人々は、自らの郷土の独自性に誇りをもち、その言葉(ブルトン語)や音楽、民俗芸能、伝統を守ってきました。宗教的な祭事も今に至るまで大切に受け継がれ、教会や聖堂で行なわれる「パルドン祭」では、ブルターニュの人々の篤い信仰心を伺うことができます。わたくしたちは小さな聖堂を訪ね、この地方でもっとも信仰を集める聖人のひとり、聖イヴのパルドン祭に参加しました。聖堂の持ち主のブルターニュ人一家は村人たちを招待し、ミサの後には「おもてなしの盃」としてシードル(りんごから作られるアルコール飲料)などを振舞います。美味しいクレープも出されますが、これにはシードルの酔いの回りを抑えるという役割もあるようです。
         
せっかくトロアネまで来たので、わたくしたちは、ここからほど近いフィニステール県南部、オデ川下流の美しい町カンペールを訪れることにしました。車の乗り入れが禁止された旧市街には、中世の面影を残す美しい家並みが続きます。大聖堂の荘厳な尖塔を望むケレオン通りや美しい家々が並ぶフレロン通りといった商店街は、そぞろ歩きにはぴったりの小道です。賑やかな商店街から一歩裏手に入れば「プラス・オ・ブール(バター広場)」。表通りとは対照的な静けさに満ちたこの小さな広場はとても心地よい場所ですが、そちらにあるクレープ屋さんにも是非、お立ち寄りになられてはいかが。さまざまな種類のそば粉のガレット(塩味)や小麦粉のクレープ(甘味)を楽しめますし、カンペール名物として知られた薄焼きクレープをお召し上がりになるのもいいかもしれませんね。
▲カンペール、大聖堂への通り。
©A.de Montalembert
         
▲カンペール、プラス・オ・ブール(バター広場)。
©A.de Montalembert
静かな広場を過ぎて、道を進めばカンペール随一の名所、サン・コランタン大聖堂が見えてまいります。一歩足を踏み入れれば、ステンドグラスの比類ないまきまでの美しさに心を奪われることでしょう。
         
 
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