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ジャン=マリー・ド・シルギーのコレクションにはブルターニュゆかりの絵画はありませんでしたが、1870年以降、国から作品を委託されるようになり、また、購入も始められたので、カンペール美術館は今や、フランス随一のブルターニュ絵画のコレクションを誇るまでになりました。このコレクションを前に、わたくしはブルターニュ地方の景色のみならず、そこに宿る伝説や伝統にまで想いを馳せずにはいられませんでした。たとえば、アルフレッド・ギユー(1844-1926)の《コンカルノーからサン=タンヌ・ド・フェナンへのパルドン祭の到着》(1887)をご覧になってみてください。描かれているのは、ある聖人、ここでは聖アンナへの信仰心を示すパルドン祭です。聖アンナの像を囲んだ白衣の若い女性たちが深い思索に身を捧げる様子、そして伝統的な衣装を身にまとい、信仰の幟を掲げる人々の尊厳に満ちた姿──その世界は、きっと皆さまの琴線にも触れることでしょう。
アドルフ・ルルー(1812-1891)の《ブルターニュのある結婚式》(1863)は、伝統的な農村の結婚式の喜びに満ちた光景を捉えた一枚。ブルターニュ地方の風笛ビニウーを演奏する音楽家や、民族衣装を着て伝統的な踊りに興じる農民たちの姿も描かれています。ブルターニュの伝統的な姿を捉えたこれらの絵画は、このミュゼの見どころのひとつと申せましょう。そして、よく知られているのが、このミュゼが誇るもうひとつのコレクション「ポンタヴェン派」の絵画です。
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▲アルフレッド・ギユー
《コンカルノーからサン=タンヌ・ド・フェナンへのパルドン祭の到着》1887年
油彩, 281 x 220 cm
オルセー美術館からの委託品
©musée des beaux-arts, Quimper |
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