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シャアリ修道院
 
▲バラ園とサント・マリー聖堂。
photo:Philippe Caron ©Institut de France
美術館を後に、わたくしたちはサント・マリー聖堂へと向いました。半ば崩れかかった中世の修道院の隣にあって、この聖堂が在りし日の姿を留めているのは、まさに奇跡といえましょう。典型的なレヨナン式ゴシック様式の、この光溢れる聖堂が建立されたのは、1245〜1260年頃のこと。そして、さきほどお話したイッポリート・デステの時代に最盛期を迎えました。イッポリート修道院長はフランソワ1世のお気に入りで、当時フォンテーヌブローの城の装飾を手がけていた画家プリマティッチョにこの聖堂を装飾させたのです。
 
   
聖堂のフレスコ画の作者は長らく謎とされていましたが、2005年から2006年にかけて行われた修復によって、プリマティッチョのものであることが明らかになったのです。天井画に描かれた場面やファサード裏の≪受胎告知≫には、ミケランジェロ(1475-1564)の影響が伺えますが、ボローニャ生まれの画家プリマティッチョは、システィーナ礼拝堂でミケランジェロの作品を目にしたことがあったのでしょうか?ともあれ、ここにフランスでもっとも美しいイタリア・ルネサンスの壁画があることは間違いありません。修復によって、1875〜1876年に加筆された部分が明らかになり、16世紀の色の輝きを取り戻すことができたのです。
▲サント・マリー聖堂内陣:天井画とファサード裏のフレスコ画。
photo:Philippe Caron ©Institut de France
祭壇の右手にふと目をやると、ネリー・ジャックマール=アンドレの墓があることに気づかれることと思います。そこには、等身大の半分の大きさで、パレットを手にした夫人の姿を表した彫像が飾られています。
 
▲香水のアトリエ。
©A.de Montalembert
シャアリの領地を出られる際には、その右手にある19世紀後半、ドゥ・ヴァトリー夫人の時代に造られた建物などにもお立ち寄りくださいね。広大なオレンジ園もありますし、かつての厩舎は香水のアトリエになっていますので、皆さま、ご自分だけの香りを調合してみてはいかがでしょうか。
   
思いがけない幸運にも恵まれました。バラ祭で出会った友人が、わたくしたちを近くの小さな村バロンにある教会に連れて行ってくれ、シャアリ修道院の18世紀の聖職者席や、美しい聖母子像(13世紀終盤)を見ることができたのです。また、猟犬での狩りの様子を刻んだ見事な柱廊で知られるラレイ城にも行くことができました。
▲バロン村の教会の内部。
©A.de Montalembert
   
▲ラレイ城。
©A.de Montalembert
ここは、ペロー(1628-1703)の童話をもとにしたジャン・コクトー(1889-1963)の映画≪美女と野獣≫が撮影された場所です。今ではこのお城は、庭園でゴルフを楽しむこともできるホテルになっていますが、皆さまの同国人のおひとりが経営されているのですよ。
友情をこめて。
   
▲バラ園の入り口。
photo:Philippe Caron ©Institut de France
▲運河越しに見たシャアリの古城。
photo : Georges Fessy  ©Institut de France
▲シャリアの古城
©A.de Montalembert
 
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