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ランビネ美術館 Musée Lambinet バックナンバーを読む
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▲ランビネ美術館のファサード
©A. de Montalembert
親愛なる日本の皆さまへ
 

今回の訪問についてお話しする前に、まず最初に、この極めて厳しい時期におられる多くの日本のみなさまに対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
みなさまが、勇気と誇りをもって困難に立ち向かっている姿にすべてのフランス人が敬意を表しています。未来を信じて、一日も早くお元気になられることを心より祈ります。

 


「ヴェルサイユ」といえば、世界中の誰しもが、太陽王ルイ14世(在位1643-1715)の命で建築されたかの有名な宮殿を思い浮かべるでしょう。毎年、何百万人もの観光客がヴェルサイユ宮殿を訪れますが、王が宮廷人を住まわせるために造った町そのものをゆっくりご覧になる方はあまりいないようです。しかしながらこの町は、その規模や眺め、そして建築物と、いずれの点をとっても、非常にユニーク。大通りや、石畳の裏通りをそぞろ歩けば、見事なバルコニーと錬鉄の欄干を備えた17世紀や18世紀のすばらしい建物を眺めることができます。そして、1684年にジュール・アルドゥアン=マンサール(1646-1708)が建てた、王と宮廷の小教区教会の名にちなんで、ノートル=ダムと呼ばれる歴史地区を散策なさったら、ランビネ美術館にお立ち寄りください。この美術館の建物は、1750年に王の建物管理局の建築家によって造られ、1929年にランビネ家よりヴェルサイユ市に寄贈されたもの。庭に面するファサードがとてもエレガントで、建築の寓意を彫刻した破風(二人の子どもが羊皮紙を持って、三人目の子どもがそこに図面を描いています)と壮麗なバルコニーで装飾されています。


▲ランビネ美術館のあるラ・レーヌ通り
©A. de Montalembert

▲ノートル=ダム教会
©Mairie de Versailles

▲ランビネ美術館のファサードと庭園
©Mairie de Versailles

美術館は、大規模な改修と拡張工事を終えて、その扉を再び開いたばかり。およそ30を数える展示室のうち、何室かの室内は在りし日のままの装飾で保存されています。主に寄贈によってできあがったコレクションは非常に多彩で、「美術(16世紀から20世紀の絵画、彫刻)」、「ヴェルサイユ市の歴史」、「装飾美術」の3つの部門に分かれていますが、装飾美術部門として、美術品や美しい家具に囲まれて暮らしていた18世紀ヴェルサイユのブルジョワ(富裕市民)の室内が再現されているのです。

今回わたくしは、ヴェルサイユに暮らす高級家具職人で、18世紀家具の修復家でもある友人と一緒にこの美術館を訪れましたので、室内がいかに忠実に再現されているかがよく理解できました。その室内の洗練されたことといったら!ルイ15世(在位1715-1774)時代の板張り装飾が施された食堂は、温かみがあってとても居心地のよい空間。食卓には、銀食器や磁器のお皿、脚の付いたエレガントなグラスなどが並びます。それは、まるで招待客がデザートをいただくのを忘れて中座してしまったばかりのようなテーブルです。シャンデリアと壁の照明、テーブルの燭台の灯りが、室内をやわらかな光で満たします。


▲一緒に美術館を訪問したヴェルサイユ在住の高級家具職人シャルル・ウーデのアトリエ(ジャコブの焼き印の入った椅子)
©A. de Montalembert

▲テーブルセッティングがされた食堂
©Mairie de Versailles

▲主の寝室
©Mairie de Versailles

食堂をご覧になったら、お次は主人の寝室へと参りましょう。ここでは身支度のための特殊な家具に注目なさってくださいね。髭を剃ったり髪を整えたりするために、鏡を取り外せるようになっているもので、この家の主はここに鬘(かつら)と、身づくろいの道具を置いていたようです。


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