

オルセー美術館といえば、ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)やモネ(Claude Monet)といった印象派をはじめとする近代絵画を真っ先に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。今回クローズアップされているのは、アール・ヌーヴォー、近代工芸の世界。日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、オルセー美術館は世界でも最も重要なアール・ヌーヴォー・コレクションを所蔵する美術館のひとつなのです。今回の展覧会では、オルセーが誇るそのコレクションを、より楽しく、わかりやすい形で展示する方法を模索した結果、「邸宅」をテーマにすることになったそうです。
展示は当時の邸宅訪問の定石にのっとり、「サロン」から始まり「ダイニング・ルーム」へと続きます。ダイニングは今回の展覧会の最初のメイン・コーナーです。食器台や食卓、腰掛椅子などからなる、美しいマホガニーのダイニング・セットが展示室いっぱいに置かれ、私たちを世紀末パリの社交界へと誘います。
今回の展覧会は、アール・ヌーヴォーといっても、その消費の場であった“パリ”をテーマにしていますが、「書斎」ではパリと並ぶアール・ヌーヴォーの拠点だったナンシーで活躍した作家ルイ・マジョレル(Louis Majorelle)やドーム兄弟(Auguste Daum/Antonin Daum)の傑作を見ることができます。

1909-1911年頃のモデル
© RMN (Musée d'Orsay) / Droits réservés / distributed by DNPartcom
そこから、「貴婦人の部屋」へ足を踏み入れると、どこからか、“まさにパリの貴婦人”というような香りがただよい、私たちのイマジネーションを膨らませてくれます。(香りの正体は、1912年にゲラン社が発売した香水でした。)また、工芸品の展覧会の魅力は、作品の細部まで見ることができることにもありますが、ボンボン入れや扇子、宝飾品などが並ぶ「貴婦人の部屋」は、まさに驚きの細部発見の連続でした。

裏側から見た放射状の花序が美しい

展覧会の

1897-1899年
© Musée d'Orsay, Dist RMN / Jean Schormans / distributed by DNPartcom

1890年−1895年頃
©RMN (Musée d'Orsay) / Jean Schormans / distributed by DNPartcom
パリを旅する多くの人が、オルセー美術館を訪れます。いつもはまっすぐ、最上階の近代絵画の展示室に向かっていた方も、次回の訪問では是非、中二階で足を止め、珠玉の工芸コレクションを堪能してみてください。オルセー美術館の違った顔が見えてくるはずです。

- 会期
2009年9月12日(土)〜11月29日(日) - 会場
世田谷美術館 - 所在地
東京都世田谷区砧公園1-2 - Tel
03-5777-8600(ハローダイヤル) - URL
美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

- 開館時間
10:00-18:00
*入館は閉館の30分前まで - 観覧料
一般:1,300円
65歳以上:1,100円
大学・高校生:1,100円
中学・小学生:600円

- MMFのB1Fインフォメーション・センターでは、「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー-19世紀末の華麗な技と工芸-」のカタログを閲覧いただけます。
また、MMFブティックでは入場券を販売中です。
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。